初めまして今村のりつなです!台湾からアジアを中心に世界各国の現地にいなければ体感できない生きた情報をお届けします。Linuxなどのソフトウエアやへんてこハードウエア、とんがって一周してしまったような変人達を、気の向くままに取り上げていく予定です。
なぜいまアジアのLinuxやオープンソース、関連ハードウエアを注目するのか――。それはアジア圏において、新しい経済圏が生まれようとしているからです。
新しい経済圏とは、
- ハードウエア製造業圏としての中国と台湾
- ソフトウエア製造業圏としてのインドとベトナム
- これらのシステムインテグレータとしての日本
これらは他の地域でも起きており、それぞれの地域性や考え方の違いを軸に様々な立ち位置を獲得していくでしょう。
私は現在、台湾の新竹に住んでいます。台北を東京と見立てると、立地的にも役割的にも「新横浜」のような場所です。台湾新幹線で南に20分くらいで、ハードウエアに関連する企業が集まるサイエンスパークが国によって誘致されています。
台北はソフトウエア基地として発展していて、南の台中・台南へいくと、液晶の工場などのハイテク工場地帯や古くからの自動車関連工場などが並ぶ地域となります(図1)。
私は、工業技術研究院で働いています。日本でいえば、産業技術総合研究所に相当する政府系の研究機関です。目的は、次期産業のための基礎研究や開発を進めて各企業に無償提供し、企業が効率良く製品を開発できるようにすることです。
現在、我々のチームでは、Androidなどの「アプリケーションフレームワークを持った次世代ミドルウエアまでを含めたハードウエア」を提供するために必要な、テスティングフレームワークの研究開発を進めてます(写真1)。テスティングフレームワークとは、コンテンツプロバイダーなどが独自のデバイスを標準化する上で必要となるツールやテスト項目のサンプルを提示したものです。
コンテンツプロバイダーがデバイス(機器)を作るのはちょっと奇異な感じでしょう。ここで対象としているのは、従来の“ハード売り切り”モデルとは異なります。「市場において、どのような物が求められているか?」を検討し、そのための「サービスやプラットフォーム」を構築し、それに合わせたデバイスを作るというモデルです。
例えば、米Amazon.com社が「次世代の電子出版モデル」というプラットフォーム構築を目指し、デリバリーシステムを利用した自主出版プラットフォームを提供しています。そのサービスをより快適に利用できるように「Kindle」というオリジナルデバイスを作っているモデルが相当します。これを次世代“エコシステム”と呼んでいます。どのようなハードウエアとソフトウエアを提供すべきかという観点で研究開発しているのです。