IT資産管理ソフトは、この特集でここまで取り上げた機能だけでなく、クライアントの監視やサービスデスク、DLP、検疫ネットワークといった目的にも使われる。まさに情報システム部門の便利屋さんといった存在になっている。
一方で、相次ぐ機能追加により“何でもあり”になってきたIT資産管理ソフトの実態が見えにくくなっているのも事実。そこで今回は、ほとんどのIT資産管理ソフトが搭載する「標準機能」と、よく使われる「追加機能」に絞って説明しよう。
標準機能は三つ
IT資産管理ソフトは、クライアントパソコンのハードウエアやその上で稼働するソフトウエアの情報(インベントリー)を収集する(図7の(1)インベントリー収集)。ソフトの情報には、種類やバージョン、プロダクトIDなどがある。そして、IT資産の管理台帳を作成する(図7の(2)管理台帳作成)。これが本来の役割であり、基本機能だ。すべてのIT資産管理ソフトは、この機能を搭載している。
さらに、インベントリー情報から得られるソフトのバージョンを使って、パッチの配布や適用を管理する機能(図7の(3)パッチ管理)もほとんどの製品が備えている。これら(1)~(3)が、IT資産管理ソフトの標準機能である。
エージェントが調べて送信
それでは、基本機能である(1)インベントリー収集と(2)管理台帳作成の手順を見てみよう(図8)。
インベントリーは、クライアントパソコンで稼働するエージェントが収集する。そして、定期的もしくは管理サーバーから指示があったときに、管理サーバーへ送信する。
収集した情報は、管理サーバーでデータベース化してレポートにしたり、台帳として出力したりできる。この標準機能に関連して、「セキュリティポリシーに違反したクライアントの比率やその一覧などをひと目でわかるレポートを出力する」(エムオーテックスの営業推進部の池田 淳部門長)といった機能を備える製品もある。IT資産のレポートや台帳はほとんどの場合、毎日見るようなものではないという事情によるものだ。