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Android Usability Seminar 2012 レポート

人と機械の新しい関係を作るUIを求めて---ユーザビリティテスト、実世界GUI、デザイン思考

星 暁雄=ITジャーナリスト 2012/02/07 ITpro

 ユーザーインタフェース(UI)をテーマにしたイベント「Android Usability Seminar 2012」(主催、日経BP ITpro Android Application Award 2012事務局)が2012年1月28日、都内で開催された。Suica改札機を手がけた山中俊治氏、携帯電話やiPhoneの日本語入力システムを開発した増井俊之氏、医療など様々な領域で「デザイン思考(Design Thinking)」に基づくプロジェクトに関わっている奥出直人氏ら著名な講師が、実プロジェクトに基づきUIの本質的な問題についての議論を展開した。

ユーザビリティ調査が作るUI、Appleの常識外れなデザイン
山中俊治氏

 山中俊治氏はLEADING EDGE DESIGN代表として様々なプロダクトデザインにかかわるとともに、慶應義塾大学大学院で教授として教鞭もとっている。東京大学工学部の在学中に漫画を描き、日産自動車のデザイナを経てインダストリアルデザイナーとして独立し、オリンパスのカメラ「O-product」やJR東日本の「Suica改札機」など多くの作品を送り出した。

写真1●慶應義塾大学大学院教授、LEADING EDGE DESIGN代表 山中俊治氏
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 山中氏は講演の前半、Suica改札機の開発にあたり実施したユーザビリティテストを題材として、ユーザビリティ調査のポイントを解説した(関連記事:「ユーザビリティ調査の極意を聞き、Flash/AIRによるAndroid開発の実際を見る)。開発が進められていたのは1990年代半ばである。当時、Suica改札機の開発は、ユーザーが正しい使い方をなかなか理解してくれないことから暗礁に乗り上げていた。この問題を「デザインにより解決できないか」という目的でユーザビリティテストを実施したのである。

 「引き受けたものの、まったく勝算はなかった」と山中氏は振り返る。記録映像を見ると、初期のSuica改札機の試作機を使ったユーザビリティテストでは、どうしても使い方を理解してくれない利用者が一定の割合で存在していた。しかし、ユーザビリティテストの観察の知見をデザイン上の工夫に結び付けることにより、100人中99人は使えるようになった。「ここまで劇的に改善するとは思っていなかった」(山中氏)。テストの結果採用されたのが、現在でも使われている「タッチ面の13.5度の傾き」や「タッチする箇所を示すリング状の光」などだ。

写真2●Suica改札機にはユーザビリティテストの知見を踏まえたデザイン上の工夫が施されている
[画像のクリックで拡大表示]

 山中氏がデザインした製品には、OXO社のキッチンツールもある。それらもユーザビリティ調査を取り入れデザインされたものだ。欧米と日本では器具の持ち方が異なることから、レードル(すくう道具)やトング(はさむ道具)の「持ち手」を、日本人向けに工夫した。また、「OXO大根グレーター」(大根おろし)では、NC加工により「歯」のランダムネスを作り込むことで、大根の削り味が時間が経過しても一定に保たれるようにした。

写真3●「大根おろし」のデザインを見直して開発した「OXO大根グレーター」
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次ページ ユーザビリティテストの「肝」
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