上流工程では、現状の業務について確認したり、課題の解決方法を検討したりと、会議を設定する機会が数多くあります。今回は、会議の計画や運営で失敗したケースについて見ていきましょう。

病状:会議が続く...

 ファッション小物の製造卸を行っているA社では、顧客の需要予測に基づいた適切な生産が行われておらず、機会損失や過剰在庫といった問題が発生しています。この状況を改善するために、A社では1年をかけて、業務課題の分析やあるべき新業務について検討を重ねてきました。その結果、自社が求めるシステムの概要が明らかとなり、RFP(提案依頼書)を発行し、開発ベンダーの選定も終え、いよいよ開発に着手する段階となりました。

 システム開発を行うに当たっては、「業務として何を実現したいのか」という業務要件を開発者に伝える必要があります。開発者への説明は、業務分析を担当したコンサルタントが担当することになりました。開発者への説明を前に、現場へのヒアリングを行ってから1年近く経っている部署もあるので、新たな業務課題の発生有無と、これまで検討してきた新業務の流れについての最終確認を取ることになりました。

 業務要件の確認会は、開発に着手するまでの1カ月間を期限として計画されました。コンサルタントから提示された確認会のスケジュールには、各回で取り上げる業務領域や業務ルール、参加者が記されており、一見問題がなさそうに思われるものでした。

 しかし、実際に確認会が始まってみるとスケジュールが2度、3度と延期され、いつまで経っても終わらないという事態に陥りました。会議が発散して時間内で終わらず回数が大幅に増加したり、次から次へと検討対象が見つかったり、確認が必要な対象者が後になってから追加されたりという事態が発生したのです。確認会では、新業務の流れについての最終確認を行うこととしていましたが、業務ヒアリングが始まったり、業務課題の検討を行ったり、議事録の読み合わせに終始したりと、脱線することがしばしばあり、会議の混乱は収束せず余計な時間ばかりを費やしてしまうという結果となっていました。

 やむを得ずスケジュールを延期して対応することとしたのですが、これに半年近くを要してしまいました…。

イラスト:山崎 直子(マナスリンク)