渋谷道玄坂の奥の奥。住宅街に紛れた小さな喫茶店に、深刻な表情の若者が入っていった。Webデザイナーのケイスケだ。彼は、ノートパソコンを開き、トロピカルブレンドのハーブティーを楽しむ中年紳士に声を掛けた――。
ケイスケ:実は僕、会社を辞めようかと思っているんです。
ホラムズ:ほう。いきなりおだやかじゃないな。しかし、君が辞めるとマネージャのパステル君が困るだろう。現在の開発プロジェクトは佳境だと聞いているが。
ケイスケ:そうでしょうね。でも、こっちが良い仕事をしようとしても、それを技術者に邪魔されてばかりなんですよ。技術者なんて、みんなデザイナーをバカにして、嫌がらせをして裏で笑ってるんだ…。
Webデザイナーのケイスケは、技術者からの嫌がらせの数々を語りだした。ホラムズはケイスケの話をじっくり聞きながら、こう思った。ケイスケは悪くなく、技術者たちにも嫌がらせをする意図はなかったはず。ただ、職種の違う者の間で、こういう誤解は起こりやすいものだ。それを解いてあげねばなるまい。
ホラムズ:誰が悪いという議論の前に、この話にはおかしな歪みがあることに気づかないかね。技術者とデザイナーの間を引き裂く、誰かが残したトリックの痕跡と言っても良いね。
Webデザイナーと技術者を対立させる真犯人を推理せよ!
目次
名探偵ホラムズ
かれこれ30年、様々な技術の浮き沈みを見てきたフリー・プログラマだ。今日は、知り合いのプロジェクト・マネージャから相談があると言われ、行きつけの喫茶店で待ち合わせているのだが…。
ソフトハウスで開発プロジェクトに所属するWebデザイナーです。専門学校を出たばかりで、まだ若くて経験は少ないですけど、やる気と理想は誰にも負けないつもりです!