みずほフィナンシャルグループ(FG)が、2016年3月末に予定するみずほ銀行(BK)、みずほコーポレート銀行(CB)、みずほ信託銀行(TB)のシステム統合に向けて、CIO(最高情報責任者)の権限強化に動き出した。

 2012年6月下旬の株主総会後に、FGのCIOを務める安部大作常務執行役員を同社の常務取締役に昇格させる。CIOが取締役に就くのは、「情報システムの重要性を勘案してのこと」(FG広報室)だ。

 これに先駆け、安部氏は4月1日付で「グループCIO」に就任。FGのほかBK、CBのIT・システムグループ長とTBのシステム担当役員を兼ね、システム統合の指揮を執る。

 安部氏は現在、FGの企画グループ長とIT・システム・事務グループ長を兼任している。4月からは経営企画担当を離れ、システム統合に専念する。FGは2011年3月にBKで発生したシステム障害に対する信頼回復策として、BKとCBおよびTBの合併を推進している。その最大の鍵となるシステム統合を、FGの経営企画担当としてグループ再編プランをまとめた安部常務に託す。

 CIO権限の強化に並行して、組織体制も改める。システム統合と銀行合併に先駆け、2012年4月にFGとBK、CBの企画・管理部門を統合する()。

図●みずほフィナンシャルグループの企画・管理部門の組織体制(2012年4月以降)
図●みずほフィナンシャルグループの企画・管理部門の組織体制(2012年4月以降)
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 ITについては、安部氏を中心とするFGのシステム部門がシステム統合を統括し、BKとCBのシステム部門は、既存システムの安定稼働に専念する。BK、CBとも現在のシステム担当役員のポストを残し、安部氏との「2人CIO体制」とする。BKとCBは2013年度上期中にCBを存続会社として合併する。

 TBは4月に予定する組織統合の対象ではない。ただ、システム統合の対象範囲には含まれる。

 システムの前に組織の統合に踏み切ったのは、評価できる取り組みだ。システム統合を成功させるには、業務プロセスや商品・サービスの一本化が欠かせないからだ。みずほの過去のシステム統合では、組織や商品の統合が不完全なままシステム統合を進めたことが、結果的にシステム障害を招いた。

 とはいえ、CIO権限の強化や組織統合はシステム統合の事前準備にすぎない。システム統合完了までに残された期間は“わずか”4年間。みずほは2012年3月にシステム統合計画の詳細を発表する予定だ。その内容に注目したい。