哲学の世界で悲観主義という言葉がある。「この世は悪と悲惨に満ちあふれたものだと考える人生観」を指す。例えば、コップに半分水が入っていた場合、「半分しかない」と考えるのが悲観的な考え方になる。悲観主義の対義語は楽観主義。「現実世界はすべての世界の中で最善のものであると考える人生観」である。「コップに水が半分も入っている」と考えるのが楽観的な考え方になる。

 システム開発プロジェクトにおいても、PM(プロジェクトマネジャー)が悲観的になるか、楽観的になるかで大きな差が出てくる。具体的には以下のようなものだと考えられる。

・悲観的になる場合
ある課題・事柄に直面した場合、自らの過去の経験や知識に照らし合わせはするものの、「どうせ、うまくいかない」「必ず失敗する」といったネガティブな思考・感情に支配されて、自らの意志で行動しないこと。

・楽観的になる場合
感情に左右されず冷静に事実を認識した上で、ある課題に対して「何とかなる」という気持ちで判断を下し、自らの意志で行動すること。ただし何も考えていないのは単なる脳天気であり楽観的ではない。

 両者の最も大きな相違点は、自らの意志で実際に行動に移せるか否かだ。「うまくいくかどうか分からないがやれるだけやってみる」といった行動は楽観的な思考と捉えるのである。

 プロジェクトがスタートし現場での舵取りに入ってからは、PMは悲観的になってはいけない。PMが悲観的になり行動を起こせなくなってしまったがために、プロジェクトそのものがうまくいかなくなるからだ。