この連載では、Facebookを中心とした「ソーシャルメディア」を企業でどのように導入するかをテーマにしている。前回は「人脈形成と維持」について、まず最初にリアルの人脈形成とその維持を解説し、その手段としてのFacebookの利用について説明した。

 筆者は「ソーシャルメディアは道具であり、使う人のリアルな仕事の優劣によって価値が変化する」と考えている。これを「ソーシャルメディアはリアルを忠実に写す鏡」と表現し、過度に期待せず冷静に考えるべきと多くの人に説明している。

 この連載は今回で3回目であるが、1回目でこの話をさせていただいたところ、多方面からたくさんの意見をコメント欄、Twitter、Facebookにいただいた。これは、主に「ソーシャルメディアが何なのかが腑に落ちていない人」からいただいたものだと考えている。

 なぜならその内容が、「確かにそうだ」「今まで分からなかったが、腑に落ちた」「気持ち悪かった理由が理解できた」「今までのどの説明よりも分かりやすかった」というものであったからだ。このことから、筆者の考えは的を射ているのだと考えている。

 「ソーシャルメディアは凄い」「これからの時代に欠かせないのではないか」という過剰な期待を持つ人も多いが、正解は「リアルの仕事がダメならソーシャルメディアもダメ」「リアルが優れていれば、ソーシャルメディアでさらに良くなる(増幅器効果)」――ということである。

 このことが分かっておらず、「ソーシャルメディア自体の良し悪し」を語る人は多いが、それはまったく本質ではない。「ソーシャルメディア自体がビジネスの成功をもたらす」わけではないのである。

 ソーシャルメディアを使った仕事がうまくいかなかったのであれば、それは「ソーシャルメディアが悪い」のではなく「人間が悪い」のである。では、今回のテーマに進みたい。「ソーシャルメディア戦略の立案をどのように考えるか」である。では、事例をみてみよう。