「新任PMOが悩むPMOの立ち位置」シリーズも今回が最後となる。4つの失敗パターンに陥らないようにするためには、新任PMOはどんなことを身に付けておくべきだろうか。実際にPMOの仕事を初体験した方々へのアンケート結果を基に、解き明かしていきたい。

後藤 年成
マネジメントソリューションズ 取締役 PMP


 前回、PMOとして陥りやすい4つの失敗パターンを紹介しました(図1)。実はその4つのパターンに陥る傾向として、「それまでどのような経験を積んでPMOになったのか」というキャリアがある程度関係しているようです。

図1●新任PMOが陥りやすい4つの失敗パターン
図1●新任PMOが陥りやすい4つの失敗パターン

 「食べ過ぎ消化不良型」はプログラマーやSEからPMOになった方に多くみられます。なぜならば、マネジメントや管理、PMOというものに対しての理解や経験が不足しているため、手当たり次第に自分のタスクとして拾ってきてしまう傾向があるからです。

 「燈台下暗し型」もプログラマーやSEからPMOになった方に多くみられます。WBSや作成すべき決まった成果物(設計書やソースコードなど)がある状況での仕事に慣れてしまっているため、「自分たちが計画を作る」ことや、「WBSにはない、すき間の問題を発見する」という経験が少ないためではないかと思われます。

 「タコつぼ型」は、プロジェクトマネジャーの経験者や、ラインのマネジャーなど管理職経験者によく見受けられます。自分の作業範囲を決めて、その中で成果を出していくことに慣れてしまっているためではないでしょうか。個人としての権限を持って仕事をしていたため、「権限はあまりないけれどプロジェクトを推進しなければならない」というPMOの特性に慣れるのに時間がかかるのかもしれません。

 「自己未完結型」は、前職がコンサルタント系だった方に多くみられる傾向があります。前回のコラムでも述べましたが、個人技に優れているため、今までチームとして成果を出す活動が少なかったためでしょう。PMOという職種になっても、コンサルタント時代と同じように個人技で乗り切れると考え、迷っても誰にも頼らず、相談せずに間違った方向へ進み、最後にお客さまに文句を言われるという王道パターンがあります。