ソフトウエア開発において、多くの技術や開発手法の中からどれを選ぶべきか、どう適用すれば失敗しないのか、といった判断は、ITエンジニアにとって非常に難しい問題だ。本書は、「エビデンス(証拠)」をキーワードに、ソフトウエア工学の研究者やアーキテクトなどが実際に検証した結果を集め、この答えを導こうとしている。

 取り上げているテーマは、「どういうときにアジャイル手法を採用すべきか」「組織構造とソフトウエア構造の関係は」「コピー&ペーストによる開発は有害なのか」など、多岐にわたる。論文的な記述が多いので読み進めるのには根気がいるが、いずれも数値データや仮説、分析などが具体的で、興味深い。また、エビデンスによる検証の重要性や評価の手法などについてのパートもあるので、読者自身が技術や手法を評価するスキルを高めるヒントも見つかりそうだ。

Making Software

Making Software
Andy Oram/Greg Wilson編
久野 禎子/久野 靖訳
オライリー・ジャパン発行
3990円(税込)