IFRS(国際会計基準)を適用する場合、対象を「連結財務諸表」と「単体財務諸表」の両方にするか、どちらか片方にするか。IFRS適用方針を議論する金融庁 企業会計審議会では、連結だけを対象とする方向性が浮上している。日経コンピュータがITpro会員4001人を対象に実施したIFRS意識・動向調査では意外な結果が浮かび上がった。

「コンバージェンスの存在を知らない」が半数以上

 金融担当大臣の発言に端を発した延期問題は、IFRSの強制適用(アドプション)に関する話である。これに先駆けて、日本ではIFRSと日本の会計基準(日本基準)との間の主要な差異をなくすコンバージェンス(収斂)の取り組みが進んでいる。

 IT業界で話題になった「工事進行基準」や、最近では「包括利益」や「資産除去債務」などは、コンバージェンスの一環として日本基準になった項目である。日本の会計設定主体であるASBJ(企業会計基準委員会)と、IFRSを策定しているIASB(国際会計基準審議会)が2007年に交わした「東京合意」にのっとり、主要な差異に関するコンバージェンスはおおむね完了している。

 ITpro会員は、このコンバージェンスの状況をどのくらい知っているのか。それを尋ねた結果が図1である。

図1●コンバージェンスの状況をどの程度、知っているか
図1●コンバージェンスの状況をどの程度、知っているか(n=3827)

 コンバージェンスの取り組みを知っており、かつ「項目や背景を説明できる」としたのは、2.4%。「いくつかの項目を挙げることができる」を合わせても1割程度だ。コンバージェンスの存在さえ知らないとする回答が半数を上回った。多くの人にとって、コンバージェンスはなじみのない存在であるようだ。