今回のテーマは、スタートアップを構成するメンバーである。いろいろな場面で人材がカギと言われるが、チーム編成は難しいテーマだ。ブランク氏のリーン・ローンチパッド・クラスの経験を通じて、理想的なチーム編成の在り方を探る。(ITpro)

 ハイテク分野への投資家は過去40年間にわたり、スタートアップが成功するには、技術だけでなく「チームこそが鍵だ」ということを学びました。我々のリーン・ローンチパッド・クラスでも、「正しいチームを持つことが鍵だ」と分かるまでの最初の1年間、いろいろと手こずりました。

スタートアップ・チームで学んだレッスン

 過去12カ月にわたり、スタンフォード大学、カルフォルニア大学・バークレー校、コロンビア大学と全米科学財団(NSF)のリーン・ローンチパッド・クラスで、42のアントレプルナー・チームの147人の学生に教えてきました。これは、ほとんどのスタートアップ・インキュベーターと同程度のチーム数です。

クラスに参加するには

 私が最初に、ハンズオンのプロジェクト/チームに基づくアントレプレナークラスを教え始めた時、クラスを志望した学生は誰でも受け入れることにしました。その後少し経つと、事前に面接しないと、学生にとって良い結果をもたらさないことが分かりました。かなりの数の学生は、スタートアップ企業とは何かという全体像を求めていただけであり、アントレプレナーシップを知るクラスを期待していました。

 しかし、多くの学生はアントレプレナーシップに対する情熱も、市場に出したいと思っている“灼熱の”製品アイデアも、まだ持っていませんでした。それでもそのクラスでは「最初の週に作られた」即席スタートアップ・チームに投げ込まれ、他の人のビジョンを実現する下っ端として引きずり出されることになってしまったのです。

第1ステップ――ハードルを決める

 このような状況を見て、最初の改善策として、リーン・ローンチパッド・クラスを希望する学生には正式にクラスに申し込みをさせ、私たちが面接することにしました。私たちは、素晴らしいアイデアを持ち、そのアイデアを本当に実現させたいと望んでいるアントレプレナーを探しました。私たちは、最初のクラスの前にまず全学生が集まるミキサー(集会)を開き、学生たちは最初のクラスでチームを組みました。

 しかし私たちは、チームを構成するために1週間以上も無駄になり、学生たちのアイデアが崩れ始めたことに気付きました。

第2ステップ――チームとして申し込む

 このため、次のクラスを開催した際には、学生たちに個人としてではなく、チームとしてクラスに申し込ませることにしました。学期が始まる1カ月前、あるいはそれ以前に説明会を開きました。この説明会に、学生たちは事前に構成されたチームで出席し、教育チームと面接をしてから、クラスに参加することが認められました。自分たちのチームに参加する学生を求めているチームは、そこで集会を開いて自分たちのアイデアを売り込むか、または他のチームと合流してから、クラスに参加するための面接に臨みました。このプロセスでは、チーム編成の手続きを授業時間から外したため、私たちの教える時間が増えるメリットもありました。

 このようなプロセスを採用しましたが、私たちがどのチームを選ぶかは、そのチームが最良のアイデアを持っているかどうかに基づいていました。私たちはもう少し賢くあるべきでした。スタートアップと同じように、授業においても、“B級チーム”による最高のアイデアは、世界レベルの“B級アイデア”よりも劣っていたからです。なぜでしょうか。以下がその理由になります。