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中国が欲しがる日本のIT力

NEC、東芝系と組む東軟集団の野望

宗像 誠之=日経コンピュータ 2012/01/23 日経コンピュータ
出典:日経コンピュータ 2011年12月8日号pp.65-68
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
目次一覧

 システム開発の発注元と委託先という関係から、ITサービスやソリューションを共同で中国市場に売り込む「対等なパートナー」へ。日本と中国のIT企業の付き合い方が変わり始めた。

表●主な日中IT企業の協業
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 この1~2年で、日中IT企業が資本提携したり、合弁会社を立ち上げたりする動きが加速している。単なる業務提携にとどまらず、資本提携を含む本気度の高い関係の構築が本格化し始めた()。

 中国IT企業の狙いは、日系IT企業が抱える幅広い業種向けのソリューションや、スクラッチ型の大規模システム開発力、クラウドなど先端技術の吸収だ(図1)。「イノベーションによってITサービスの付加価値を高め、増収につなげたい」(東軟集団の王勇峰総裁兼副董事長)、「ハード販売からソリューション提供を中心とした事業モデルへと転換したい」(神州数碼信息服務の何文潮 副総裁)。大手首脳は日系IT企業からビジネス拡大につながるノウハウを得ようとする意欲を隠さない。

図1●日中IT企業の協業の狙い
成長性が高い中国IT市場の開拓のため、互いの強みを持ち寄る
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 これまで中国は日本のIT産業にとって、「コスト競争力に優れたオフショア開発拠点」という位置付けだった。これら大手首脳の言葉は「脱オフショア」を目指す中国IT企業の思いを象徴する。

 米ガートナーの調べでは、2010~2015年までの中国における企業のIT投資規模の平均成長率は年12.5%に達する。有望市場を目の前に、日中IT企業の協業の最前線では何が起こっているのか。主要な舞台となっている北京と大連へ飛んだ。

東軟集団、日系ITと相次いで合弁

写真1●東軟集団の「大連河口パーク」の様子
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写真2●東軟集団の「大連河口パーク」内を走る電気自動車
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写真3●東軟集団の王勇峰 総裁兼副董事長
写真3●東軟集団の王勇峰 総裁兼副董事長

 大連市内から車で30分。約50万平方メートルの巨大な敷地に、まるでテーマパークのような趣の建物が突然現れる。東軟集団が2008年に開設した「大連河口パーク」だ(写真1)。入り口にタクシーで到着すると、待ち受けていたのは専用の電気自動車だ(写真2)。入り口からパーク内のオフィスへ、顧客などを案内する際に使っているという。

 「5~10年以内に、イノベーションによって顧客に付加価値をもたらすビジネスモデルを構築したい」。大連河口パークを見わたすオフィスで、東軟の王総裁(写真3)は力強く語った。

 同社はこれまで人海戦術でオフショア開発などをこなし業績を拡大してきた。現在はグループで約2万人を擁する。しかし今後は、増員による規模の拡大を経営目標として掲げるのはやめて、生産性向上に力点を置く。その戦略転換の鍵を握るのが、日系IT企業2社と設立した合弁会社だ。

NECのアプリを提供

 一つは、中国でクラウドサービスを展開するためにNECと設立した「日電東軟信息技術」。もう一つが、総合ITサービスを中国で提供するため東芝ソリューション(東芝SOL)と設けた「瀋陽東芝東軟情報システム」だ。

 日電東軟は現地の日系企業や中国企業に対して、IaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)やPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)を提供する。

 SaaSのアプリケーションは、主にNECが用意する。「クラウド分野でNECが持つ基盤技術やソリューションは先進的であり、我々が持っていないものだ」(東軟の王総裁)。クラウドの基盤もNECが構築する。

 合弁会社は2011年11月中旬時点で、30~40社程度の顧客を獲得しているようだ。この数字は順調とはいえない。当初はこの時期には100社以上からの受注を想定していたという。「予想外に中国企業はクラウドへの移行に慎重だ」。NECの三輪徹 海外営業ビジネスユニット支配人は打ち明ける。

 今後は巻き返しのためテコ入れを図る。まずは引き合いが多いIaaSを重点的に販売する。SaaSの使い勝手を高めるため、複数のアプリケーションをまとめて割安に使えるメニューも用意する。さっそく、人事管理やワークフロー管理など間接業務用のソフトをまとめて提供し始めた。

 中国企業には東軟が、中国の日系企業の拠点にはNECが、それぞれ営業攻勢をかける。IaaSを戦略商材として顧客に食い込み、徐々にSaaSの利用を勧めて収益拡大を狙う。クラウドへの移行を円滑にするためのコンサルティングやプライベートクラウドの構築も手掛ける。

1000人の営業要員と連携

 「NECとの合弁はクラウドが中心。東芝SOLとは個別の企業ニーズに応じるソリューション分野での合弁となる」(東軟の王総裁)。東軟と東芝SOLは合弁会社を通じて、パッケージの導入や個別システムの開発、導入後の運用保守サポート、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)、クラウドなど幅広く展開する計画だ。

図2●東軟集団と東芝ソリューションのサービス提供体制の概要
東軟集団は営業・サポート要員を「大区」と呼ぶ8エリアに区分して配置し、さらに新規顧客開拓を主に担当する「大顧客部」を大都市圏に設置している
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 目玉は、東軟が誇る営業・サポート網の活用だ。東軟は中国のほぼ全土を「大区」と呼ぶ8エリアに分け、それぞれに営業とサポート要員を配置している。これら要員は合計で1000人を超える。さらに、新規顧客開拓を担う戦略部隊を、北京や上海など大都市圏に配置している(図2)。

 合弁では東軟の要員と連携し、中国全土でサービスを提供する。「販路やサポート体制など東軟の強みと、大規模システム開発やソリューション提供など東芝SOLのノウハウを組み合わせる」(東芝SOLの山内雅仁 海外事業推進プロジェクトマネージャー)。

 ここで気になるのは、東軟がNECおよび東芝SOLとそれぞれ設立した合弁会社2社のバッティングだ。NECはクラウド中心とはいえ、東芝SOLも合弁を通じてクラウドを展開する予定だ。東軟の資本が入る合弁会社同士が、顧客を奪い合うことになりかねない。この点について王総裁は、「市場全体が拡大するなかで、顧客の取り合いが発生するとしてもまだ先のこと。仮にそうなっても、そのときはうまく調整すればいい」と意に介さない。

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