NTTドコモのスマートフォン向けサービス「spモード」の障害が、2011年末から2012年にかけて立て続けに発生した()。2011年12月20日の障害では、自身のメールアドレスが他人のアドレスに置き換わる問題が起きた。続く2012年1月1日には、メールが不達となったことを送信者に通知できなかった。

表●NTTドコモのスマートフォン向けサービスで相次ぎ発生した障害
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表●NTTドコモのスマートフォン向けサービスで相次ぎ発生した障害

 spモードはNTTドコモの独自サービスで、従来のiモードと同様のサービスをスマートフォンでも利用できるようにしたものだ。例えばspモードメールでは、iモードメールと同じ絵文字などを使える。有料コンテンツを購入した際に通話料と一緒に決済できるサービスも使えるなど、spモードはNTTドコモのスマートフォン事業を支えるサービスだ。だが、そのシステムの根幹部分に問題があることが、今回の障害で明らかになった。障害の原因が、spモードのユーザー管理処理の不具合とみられるからだ。

 2011年12月に発生した障害の原因は、端末に割り振ったIPアドレスとユーザーの電話番号などをひも付ける処理で問題が起きたことだ。spモードでは、携帯電話網に接続した端末にIPアドレスを割り振り、そのIPアドレスと端末の電話番号などのユーザー情報をひも付けて管理する。ネットワークに接続した端末は、主にIPアドレスを使って識別するのだが、この部分で問題が起きた。

 直接のきっかけは、故障した中継装置の復旧作業中に、作業員が光ケーブルを誤って切断したことだ。一時的に伝送路が全断したため、復旧後、端末が再接続する処理が集中。その結果、spモードのユーザー情報を管理するサーバーが処理能力不足に陥り、新しく割り振ったIPアドレスと電話番号をひも付ける処理が滞った。そのため、IPアドレスと電話番号との対応関係に食い違いが生じ、A端末に送るべき情報をB端末に送るという問題が起きた。

 2012年1月に発生した障害は、ユーザーのメールアドレスとメールボックスをひも付ける処理の部分で、何らかの問題が起きたことが原因だ。spモードのユーザー向けに送ったメールがメールボックスに格納できず、未達となった。他社ユーザーへは不達情報を通知できたのだが、spモードのユーザー同士の場合は不達情報を通知できなかった。

 これらの障害を受け、NTTドコモは山田隆持社長を本部長とする対策本部を設置し、spモードを含むスマートフォン向けシステムの見直しに乗り出した。信頼回復に向け、NTTドコモの対応力が問われている。