NTT東日本は、FTTHサービス「フレッツ光」の加入促進策として、無線LANの活用を積極的に展開する。利用者宅内の無線LAN環境構築をサポートするサービスの提供を開始したり、飲食店との協業による公衆無線LAN用アクセスポイントの増強を行うなど、屋内でも屋外でも無線LAN経由でフレッツ光を利用できる環境を整備する。取り組みの背景には、高まるスマートフォンやタブレット端末などの人気を、FTTH加入者の新規獲得/解約防止に繋げる狙いがある。「モバイル端末ユーザーにも固定回線は安定していて速いということを実感してもらいたい」(NTT東日本)という。

 NTT東日本は、公衆無線LAN接続サービス「フレッツ・スポット」のアクセスポイントを2012年度末までに5万局に拡大する計画を2011年5月に発表している。新規に拡大するアクセスポイントでは、接続方式としてこれまでのPPPoE方式ではなくIPoE方式を採用する。この結果スマートフォンやタブレット端末など、PPPoE方式では接続できなかった端末からも、より簡単に利用できるようになる。IPoE方式を用いたサービスは今冬に開始予定である。

 また飲食店などの店舗向けに、フレッツ光を用いた公衆無線LANアクセスポイントの導入プログラムを提供する。導入プログラムはアクセスポイントの設置だけでなく、店舗の集客向上を目的としたサービスと組み合わせて提供する。NTT東日本は、フレッツ光ユーザー向け会員制プログラム「フレッツ光メンバーズクラブ」で、地域別にクーポンを提供するサービスを提供しており、こうしたサービスとの連動なども考えられそうだ。アクセスポイント導入プログラムの一環としてぐるなびと協業し、東日本で約25万店舗あるぐるなび掲載店舗へのアクセスポイントの導入を推進する。

光ポータブル持ち出し中も宅内無線LANが使える

 11月18日に発売したモバイルルーター「光ポータブル」用「Wi-Fiクレードル」は、充電クレードルに無線LAN機能を持たせた。月額210円でレンタル提供する。モバイルルーターを持ち出している間も家の中で無線LANを利用できる。これまで提供していたモデルは、モバイルルーターを持ち出すと家の中のアクセスポイントが無くなり、無線LANが使えなかった。単身者層をターゲットとした光ポータブルは、これまで数10万台単位で利用されているという。Wi-Fiクレードルと組み合わせることではファミリー層にも訴求しやすくなるため、NTT東日本ではさらに多くのユーザーを獲得できると見込んでいる。

 また、外出時に携帯回線を利用できる光ポータブルは、携帯回線の契約時に2年縛りなどの制限がかかることが多い。これはあくまで携帯回線側の利用が対象だが、フレッツ光のオプションである光ポータブルと組み合わせて利用した場合は、そのままフレッツ光の解約防止に繋がる結果にもなる。

高スペック化でひかりTVも使える光iフレーム2

 また2011年12月上旬には、フレッツ光ユーザー向けに提供しているタブレット端末「光iフレーム」の新製品「光iフレーム2」を提供する。前モデルと比べてCPUやメモリーなどの性能が向上している。このモデルから、NTTぷららが提供する「ひかりTV」などの動画配信サービスも利用可能になる。OSはAndroid 2.2で、バッテリー持続時間を4時間程度に向上させた。家族で幅広く利用する用途を想定し、台所などでも利用可能な生活防水機能の搭載や、学習コンテンツを強化する。月額525円の利用料で提供する。

 NTT東日本では今後、新製品/サービスの導入と合わせて「フレッツ光WiFiキャンペーン」を2011年11月18日から2012年3月31日にかけて実施する。同キャンペーンでは、光ポータブルの月額利用料3カ月無料、公衆無線LANサービス「フレッツ・スポット」の月額利用料3カ月無料・初期工事費無料、光ポータブルおよび無線LAN端末などの設定費無料とする。また、フレッツ光の新規加入と光ポータブル、およびリモートサポートサービスの三つをセットで申し込んだ利用者向けに、パソコンなどのインターネット接続設定と合わせて、無線LAN対応機器の接続設定を1台まで無料で行う。なお、光iフレームの設定は台数に含まない。