今回の投稿は、前回に引き続き、2011年に全米科学財団(NSF)が設立した「イノベーション部隊」の詳細解説である。同プロジェクトに参加したチームとのやりとりを通じて、スタートアップ企業が自らのビジネスモデルや価値を明確にするプロセスを紹介している。(ITpro)

 NFSのイノベーション部隊のためのリーン・ランチパッド・クラスは、スタートアップ・アントレプレナー教育の新しいモデルです。

 前回のブログで紹介した第1回目の講義(前編の要約はこちらで見ていただけます)の後からわずか15時間後、NSFチームは課題とされた、図式化されたビジネスモデルのプレゼンテーションを持って、教室に戻って来ました。宿題は、彼らには一見簡単に見えたようでした。内容は以下のようなものです。

――顧客は誰か、製品は何か、販売チャンネルはどうするかなど、自分たちの企業のビジネスモデルを構成する9個の要素について当初の仮説を記述すること

――ビジネスモデルの9要素と仮説について、どのように検証するかを記述すること。そして、検証に合格しているかどうかの判断要因を決めること。さらに、どの時点であなたの仮説が正解にほど遠いと判断するのか決めておくこと

――その事業を追い求める価値があるか検討すること(市場規模予想を提出すること)

――プロジェクトの進捗状況を把握するため、各チームはクラス期間中にブログ/Wiki/ジャーナルを記録し始めること

ベテラン教員による教育の合理化手法

 毎週各チームは、その週に何をして何を学んだかを5分間に要約して発表します。各チームが発表している間、教育チームは各チームが見落としたことや次の週に考慮すべきことを、時には直接的で率直な鋭い質問をしたり、助言を与えたりします。

 上記のように書くとシンプルに見えますが、これこそがこのクラスを効果的にした主な要因の一つです。教育チームの3人をあわせると、合計75年分のアントレプレナーの経験があります。加えて、彼らのうちVC経験がある2人合わせて、合計数千回のプレゼンテーションを見ています。私たちのコメントが正しかったか、彼らのプロジェクトに関して私たちが独自の見識を持てたのか保証できませんが、私たちにはプロジェクトの正誤のパターン認識に関して十分なデータと経験がありました。

 講師たちは教室の後方に座り、グーグルの共有スプレッドシートを使って成績表をつけました。私たちはチームの成績を1~10のスコアで評価し、他の教育チームと共有できるように、詳細なコメントを書き残しました。週が進むにつれ、それは各チームの進捗状況と軌跡の詳細な情報になりました。

 ちなみに、いずれのプレゼンテーションも素晴らしいものでしたが、21ものプレゼンテーションを聞くのは疲れます。今後、NFSは1回のクラスに25チームを参加させることにしていますから、プレゼンテーションを3組に分け、並行して発表してもらうことにしました。

 各チームは、“建物の外に出て”実行したことのすべてを、ブログに日記のように記録していました。このため、教育チームは各チームの進捗状況を常に把握できました。

 各チームがブログを投稿し続けるには、常に「励まし」が必要でしたが、非常に価値のあることでした。なぜなら、それは第一に私たちが各チームが顧客とどのように交流しているかを早い段階から見ることができたので、クラスのプレンゼンテーションで驚くことはありませんでした。

 第二に、チームの「顧客開発」の過程において、彼らが顧客と市場における洞察力を得ているかどうかを、ブログから知ることができました。洞察力は、アントレプルナーがビジネスモデルを繰り返し遂行し、ピボットすることを可能にします。多くの人たちとただ単に話すことだけが目的でなく、彼らから学び取ることが目的です。

 最後に、このブログは彼らが話をした人たちに関する恒久的な記録を、各チームと教育チームに残します。時間が経つと共に、状況の説明を伴ったコンタクト・リストは、将来のすべてのNFSチームが共有できる、データベースになるでしょう。