前回は、大企業におけるソーシャルメディア活用の難しさについて、特に「規模」が大きな理由のひとつとなっていることに触れた。その「規模」とは何かを改めて挙げると以下のようになる。

  • ステークホルダーや担当者など、いわゆる人数的な規模
  • 投下する予算、求められる結果などに反映される金銭的な規模
  • 顧客、パートナー、関連事業者などを含む影響範囲 (影響力) という意味での規模

 つまり「規模」が大きくなれば「常識」も変化してくるうえ、特にリスクに対して敏感になってくるということになる。今回は、このように「規模」の大きい企業においてソーシャルメディアを利活用していく場合、具体的に何をどのように考えていけばよいのかについて考えてみよう。

企業規模が大きくなると組織や担当者は細分化

 これまで大小問わず様々な企業で、またいろいろな形でソーシャルメディアがビジネスに利活用されてきた。特に企業規模が大きくなればなるほど重要になってくるのは、何よりも「内部のコミュニケーションを徹底すること」にあるのではないだろうか。これは特に先ほど挙げた中で一番最初の「ステークホルダーや担当者など、いわゆる人数的な規模」によってもたらされる難しさをクリアしていくために不可欠と言ってもいいだろう。

 企業規模が大きくなればなるほど、組織内の業務がどんどん細分化されてしまう。その結果として、様々な担当部門が存在することになる。

 もし企業規模が小さければ、一人、あるいは一つの部門で複数の業務を担当するケースがままある。だが、大企業の場合は、細分化された業務ごとに、それぞれの担当部門、そして担当者が存在するケースが非常に多い。

 担当部門や担当者が増えるだけではなく、その組織内における階層も含めて、どんどん細分化されてしまうといってもいいだろう。つまり、現場の担当者と、部門あるいは組織の上層部との間に存在する階層が増えていくということになる。

 これまで本連載では、企業としてソーシャルメディアをビジネスに利活用していくにあたって、例えば“Coordinated(協調型)”といったような形での体制作りが非常に重要であると述べてきた。この体制を作るために、大企業では非常に多くのステークホルダーとの調整が必須になってくる。実際に体制を組んでいく際には、こういった点を覚悟して臨んだほうがよいだろう。