(イラスト・アニメーション:岸本 ムサシ)
今回の回答者: 林 洋之 サンワサプライ 企画開発部 |
LANケーブルの売り場に行くと、同じ規格(カテゴリー)でも価格が高いものと安いものがあります。「高いほどスピードが速い」というわけではありませんが、多くの場合、「高いケーブルほどスピードが落ちにくい」といえます。なぜなら、ケーブルの性能が良いからです。
性能が良いケーブルは、次の三つの理由でコストが上がります。
第1にケーブルの芯線が太いことです。LANケーブルの中には8本の芯線が通っています。この芯線を太くすると電気抵抗が減るので信号の損失が少なくなり、スピードが落ちにくくなります。ただし、芯線の材料である銅の使用量が増えるのでコストは上がります。
第2に「より対線」のピッチ(よりの間隔)が狭いことです。LANケーブルは芯線が2本ずつよってあります。このようなケーブルをより対線と呼びます。より対線のピッチはノイズ対策との関係で決まり、ピッチが短いほうがノイズに強くなります。ところが、より対線のピッチを短くすると電線の長さが増え、やはり必要になる銅の量は増えるのでコストが上がります。
第3に検査の回数が多いことです。ケーブルを製造する過程で検査回数を増やせば、信頼性は高まります。その一方で人件費が増えるので、コストが上がるのです。
ただし、製造原価のコストアップとスピードとが関係のない製品もあります。例えば、エコをうたったケーブルです。エコ仕様のケーブルは、被膜部分に燃やしてもダイオキシンを発生しない素材を使うため、一般的なケーブルよりも材料コストが高くなります。加えて、市場でのニーズがそれほど高くなく、大量生産できないこともあり、価格が高くなっています。
LANケーブルを選ぶときは、使用する長さや接続する機器の性能に合わせることが基本です。ただ最近は、パソコンで動画を見る機会が増えています。高性能・高品質なケーブルを選ぶことを強くお勧めします。