がんこフードサービスのCIOに相当する新村猛専務取締役管理本部兼業務改革本部本部長(写真撮影:北山 宏一)
がんこフードサービスのCIOに相当する新村猛専務取締役管理本部兼業務改革本部本部長(写真撮影:北山 宏一)
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 関西を中心に和食店を展開するがんこフードサービス(大阪市)は、サービスの提供と消費が同時に起こる飲食店の店内を「いかに正確に観察するか」という難題に挑んでいる。その陣頭指揮に立つのが、CIO(最高情報責任者)でもある新村猛専務取締役管理本部兼業務改革本部本部長である。

 新村専務はサービス業に科学的な分析アプローチを持ち込むことで、目視による観察だけではとらえ切れない現場の事実を計測しようとしている。それにより、客観的な事実に基づく経営判断を下す。

 例えば、2011年1月には産業技術総合研究所サービス工学研究センターと共同で「屋内測位システム」を利用した店員の動線観察を行った実績がある。腰に小型センサーを取り付けた店員が、店内で無線でデータを飛ばしながら接客する。その動作をこのシステムで追跡する。

 当然、店内が顧客で混んでくると、店員の動きは速くなるのが分かる。顧客がどんどん増えて注文が殺到し始めると、作業が雑になるなど店員のオペレーションが乱れていく様子を観察できる。

 新村専務は「顧客が増えて接客が一気に崩れる『しきい値』を、IT(情報技術)の力を借りて科学的に発見したい」と語る。毎日自分の目で現場を観察できればいいのだが、現実にはそうもいかないので、「継続的に現場を観察できるシステムが必要だと考えている」(新村専務)。

 がんこフードサービスは飲食業としては極めて珍しく、社内に「気づきサイエンス研究所」という分析機関を設けている。その所長を新村専務は兼ねる。同社は現場重視を掲げるが故に、飲食の現場にITをうまく持ち込んで、人の目だけでは気づかない現場の事実の収集に全力を挙げている。

Profile of CIO
◆経営トップとのコミュニケーションで大事にしていること
・本音で話をするようにしています。隠し事はしません。そしてリスクを正確に伝えます

◆ITベンダーに対して強く要望したいこと、IT業界への不満など
・会議ではなく、現場でオペレーションを観察してもらいたいです

◆普段読んでいる新聞・雑誌
・The Daily Yomiuri

◆最近読んだ本
・『サービス・マーケティング原理』(クリストファー・ラブロック、ローレン・ライト共著、小宮路雅博監訳、白桃書房)

◆よく見るインターネットサイト
・Cinii
・Web of Science(トムソン・ロイター)

◆情報収集のために参加している勉強会やセミナー、学会など
・日本経営工学会
・モバイル学会

◆ストレス解消法
・ジムに通うこと