今回は、前回に引き続き、第13条の「グリーンITを研究せよ!」について説明します。前回は、PCの省エネ性能などの個別の対策を議論する前に、オフィス全体の電気の使用状況を把握することの大切さなどを説明しました。

 今回は、自治体機器の効率化だけでなく、データ統合による業務の効率化が残業を減らし、結果として省エネにつながることや、庁舎内部に限らず、住民の動きを効率化するようなシステムを導入することによって、同様に省エネにつながることをお話しします。

サーバー統合やシンクライアント化が有効

 最初に前編の積み残しである、PCなどの個別の機器をより省エネ性能の高いものに買い換える議論についてです。自治体の財政状況を考えると、今使っているPCをリース切れ前に買い換えるのは現実的ではありません。すぐに取り組めることは、サーバーのCPUの稼働率を調べて、サーバーを統合し台数を減らすことです。各サーバーのCPUの稼働率を調べれば、すぐに判断がつきます。

 PCをより省エネ性の高いものに切り替えていくことも大事ですが、可能であれば、システムの更新時期にシンクライアントの導入を考えることもお勧めです。

 シンクライアントとは、沖縄県浦添市などが2006年に導入して、大きな成果を上げている仕組みです。職員の机の上にあるのは液晶パネルとキーボードと職員認証用のカードリーダーとサーバーをつなぐ機器のみで、データもソフトも庁内のサーバー室のサーバーに集中してあります。

 このシステムの利点は、職員の執務場所では、これまでのようなPCによる熱がほとんど発生しないことです。シンクライアントの端末にはCPUとそれを冷やすファンがないので熱が出ません。これは、夏場の冷房効率にも良い影響を与えます。なかなか普及しませんが、情報漏えいを防ぐ観点からも、検討に値すると思います。

 今、クラウドがブームですが、庁舎内に置いてあるサーバーもいずれは、県内のデータセンターに統合されていくでしょう。セキュリティの面からもこのような方向で進むと思いますが、エネルギー消費の効率を上げていく面からも、望ましいと思います。将来は、自治体が共同で北海道などの寒冷地にデータセンターを設置し、サーバーの冷却も外の空気を積極的に取り込む外気冷却方式を活用できれば、より省エネになるのではないでしょうか。

 IT関係機器の省エネ性能の向上だけでなく、IT化により役所内部の業務の効率化を図ることも大事だと思います。データベースを統合して、住所などの住民情報を別々の課の職員が何度も打ち込むなどということがないようにしていかなくてはなりません。

 また、基幹システムのレスポンスをチューニングして、アクセスが集中する時間帯にシステムのレスポンスが低下しないようにしたり、レスポンス自体の速度を上げて、業務の効率化を図ったりすることも大事です。このようなことを積み上げて、仕事が早く終わるようにして残業をしないようにするのです。

 役所で行う会議の効率化も大事です。役所の会議室の作りは、民間企業と大きな差があります。大企業の会議室は、プロジェクターが天井に複数設置してあり、壁は画像を直接投影できるように白色です。ここにExcelの表データやPowerPointのプレゼン資料を投影して、参加者が見ながら議論しています。手元に紙はありません。自治体の場合は、会議の能率が悪いのもさることながら、会議の際に大量の紙を配るという悪弊を変えていく必要があります。