富士通 山本正已 代表取締役社長

 2011年は、まさに波乱の1年だった。未曾有の被害をもたらした東日本大震災やタイの洪水は、世界中の企業がグローバルに深く結びついていることを改めて浮き彫りにした。欧州での債務危機や円高など、世界経済の先行き不透明感が一段と高まった年でもあった。

 そのような中で、明るい話題も提供できた。当社が理化学研究所と共同開発したスーパーコンピュータ「京」が2期連続で計算速度世界一を達成したことである。今後、災害予測や創薬、省エネを実現する新素材の開発など、多岐にわたる分野で活用が見込まれる。

 2012年には、顧客のビジネスのさらなる発展、ひいては日本経済の再生に向けて、ICTを通じて貢献していきたい。そのための方策の一つとして、クラウドのコアビジネス化を進める。クラウドの利用により、エネルギーや医療・介護、農業、交通など、これまでICTの利用があまり進んでいなかった分野にビジネスの裾野を広げ、新たなサービスを生み出していく。

 新サービスを実現するため、すでに「コンバージェンスサービス・プラットフォーム」という、ビッグデータの利活用が可能なクラウド基盤を構築している。さらにスマートシティの実現に向けて、ICTを活用したエネルギー利用の最適化などの取り組みも始めている。これらの取り組みによって、日本の「新生」を後押しするとともに、今後世界が直面する様々な課題の解決の役に立ちたいと考えている。