この記事を2012年1月1日以降に読む方は、もしかしたら年末年始に「ネットワークにつながらなかった」「メールが遅れてきた」「電話がつながりにくかった」――等々を既に経験したかもしれない。

 もちろん、従来の携帯電話でも同じようなことは起こったが、携帯電話事業者などの関係者にとって、この年末年始はこれまでとは少し様相が異なる。スマートフォンが爆発的に普及して初めて迎える年末年始だからだ。スマートフォンは従来の携帯電話よりも格段に多くのトラフィックを消費する。これが年末年始の通信網にどの程度のインパクトを与えるのか。特にトラフィックが集中する大みそかから元旦を迎えるに当たり、万端の準備をして臨んでいるとはいえ、関係者は戦々恐々としている。

 スマートフォンの普及によってトラフィックが爆発的に増えることを事前に予測し、各携帯電話事業者は手を打ち続けている。(1)直近でできることとしては既存設備の増強やトラフィックの分散、(2)長期的視野で見ると新たな周波数帯の確保やこれまで以上に電波の利用効率の高い通信方式の導入、などが挙げられるだろう。2011年のニュースから振り返ってみよう。

無線LANに注目、スマホのトラフィックをオフロード

 スマートフォンには必ずといっていいほど無線LANによる通信機能が備わっている。この無線LANをスマートフォンのデータ通信トラフィックの“逃がし先”にする「無線LANオフロード」に各携帯電話事業者が積極的に取り組み始めたのが2011年だ。さらに携帯電話事業者だけでなく、公衆無線LANをこれまで提供してきた固定系通信事業者や、無線LAN機器を製造・販売するメーカーもこの動きに注目。提携や事業譲渡、スマートフォンへの積極対応などの動きが見られた。