この連載では、企業においてソーシャルメディアを活用するために便利なツールについて解説してきた。今回は、それらのツールを使ってソーシャルメディアをモニタリングしていた2つの事例を紹介する。

インフルエンサーのクレームに即座に対応

 1つめは、2010年2月に米国サウスウェスト航空と映画監督ケビンスミスとの間で起きた騒動を取り上げる。この事例では、ソーシャルメディア上で起きた危機への企業の賢い対応例となる。

 サウスウェスト航空はアメリカの国内線に特化した航空会社で、多くのリピーターを抱える人気企業だ。ソーシャルメディアの活用も積極的で、現在、Twitterの「@SouthwestAir」アカウントのフォロワーは120万人を超える。

 騒動の内容は、乗客のケビンスミス氏をサウスウェスト航空の搭乗ポリシーに反するという理由で離陸間際に搭乗を拒否したというものだ。問題となった搭乗ポリシーは、席の横についているアームレバーがきちんと下りない状態では搭乗とは見なせないというもの。確かにケビンスミス氏の体重はかなりのもので、彼は通常は2人分の席を購入し搭乗している。だが、このときは事情により1人分の席しか確保できていなかった。そのため、機長は自社のポリシーに基づいて、彼の搭乗を拒否したのだ。

 問題となったのはその後で、このケビンスミス氏は映画監督であり、またソーシャルメディア上では影響力の大きいインフルエンサーだったのだ。ケビンスミス氏のTwitteアカウント「@KevinSmith」には200万人近いフォロワーがいた。

 搭乗を拒否されたケビン氏は、自分のTwitterアカウントで「自分が太っていることが分かるが、すでに席についている自分をなぜ拒否できるのか」というツイートをした。そこからケビン氏(そのファンも彼を支持した)とサウスウェスト航空のやり取りがTwitter上で続いたのだ。

 この事例で最も学ぶべき点は、この危機に対するサウスウェスト航空の対応だ。この騒動は土曜日に発生したが、サウスウェスト航空は翌日の日曜日までに以下の対応をとることで事態は収束していった。