AndroidがiPhoneを追いかける立場を超え、“未知の領域”へ踏み込もうとしている。市場シェアの面でiPhoneを追い越し、アプリもiPhoneより短期間で10憶ダウンロードに達した。端末の多様性や柔軟性といった特徴を活用した企業システムの浸透が始まり、オープン性を生かした組み込みシステムでの用途も拡大している。コミュニティから復興アプリが生まれ、新しい企業も育ち始めている。

スマホ市場シェアでAndroidが過半数に

MM総研の発表資料より引用

 2011年度上期(4月~9月)の国内スマートフォン出荷台数は前年比4.5倍の1004万台となり、携帯電話全体の総出荷台数のうち49.5%を占めた(MM総研調べ)。世界市場を見ると、2011年第3四半期(7~9月期)のスマートフォン市場でAndroidは6049万台、シェア52.5%と過半数を占めた(米Gartner調べ)。

[市場/開発者]iPhoneを超えて

新しい企業を生み出すAndroid

 スマートフォンアプリでグローバル市場に挑む――。2011年は、そんな機運が一気に高まった1年だった。世界共通の開発環境やクラウドコンピューティングの広がりなどを背景に、短期間・格安の“起業パッケージ”が定着したことが追い風となっている。カギとなるのは、短期間で思考錯誤を繰り返しながら、ビジネスモデルの修正を行い、最適なモデルを見つけるプロセス「Lean Startup」である。

[革新]“スマホ+クラウド”で新世代起業家が続々

復興にAndroidができること

 日本を襲った未知の大災害に、多くの技術者や企業が立ち上がった。そこではAndroidも大きな役割を果たしている。復興支援アプリコンテストA3 Togetherの大賞を受賞した「BumpRecorder」、ガイガーカウンターと接続し、AR(拡張現実)によって放射線量を“見える化”するアプリ「AR GeigerCounter」、牛肉のトレーサビリティ情報をスーパーの店頭で検索できるアプリ「牛トレーサー(放射線汚染情報対応版)」など多くの復興支援アプリが開発されている。

[復興]立ち上がる技術者、コミュニティがつなぐ絆

企業システムへの採用事例が続々

 企業情報システムへのAndroid採用事例が続々と出てきている。サントリーグループは営業先情報確認や在庫確認に、中古車チェーン大手のカーセブンディベロプメントは中古車査定システムに、通信設備建設のシーキューブは工事の現場の状況を事務所で把握するための動画送信ツールとして、システムステーションは発券システムに、ローソンはeラーニング用のタブレット端末に、新明和工業グループでは部品発注システムとポンプ保守システムにAndroidを採用した。

[エンタープライズ]多様性と柔軟力で企業システムへ、採用事例が続々

iPhoneアプリをしのぐ、Androidアプリのダウンロード増加ペース

Google公式ブログより引用

 2011年12月6日、Android Market開設から2年強で、Androidアプリのダウンロード数が累計100億件を突破した。これはApp StoreでiOSアプリが100億ダウンロードに達するまでに要した2年半強よりも速いペースだ。Androidアプリのダウンロード数がいずれiPhoneアプリを超えても、不思議ではない状況になっている。

[アプリ]AndroidアプリはiPhoneアプリを超えるか

「Androidはスマートフォンとタブレット」は過去のものに?

 Androidを様々な機器に頭脳として組み込む動きが急速に進んでいる。テレビや電子書籍端末は言うにおよばず、ロボット、洗面台、扇風機、野菜工場、楽器、天体観測、ペットの監視と給餌、アート---Androidを組み込んだ様々な機器が、実際に作られ始めている。「AndroidはスマートフォンとタブレットのOS」という認識はまもなく過去のものになるかもしれない。

[組み込み]Androidがあらゆる機器の“頭脳”に、アイデア次第で用途は無限