ネットワーク分野における2011年のアクセスランキングでは、まず上位に震災関連の記事がいくつかランクインしているのが目立つ。『どのタイプの固定電話が停電時に使えるのか?』が2位に入ったのをはじめ、5位に『データセンターに立ちふさがる「25%電力削減」』、6位に『「意外な脆さ」を露呈した携帯電話サービス』、7位に『震災直後、つながりやすい通信は何だったのか』がランクインした。
言うまでもなく、2011年3月11日の震災直後は、通信回線が輻輳(ふくそう)して電話がかかりにくくなったり携帯メールが届きにくくなったりした。家族や友人の安否確認をしたくて連絡を取ろうにも、つながらずに焦燥感を覚えた人も多かっただろう。このため、「なぜつながらなかったのか」「つながりやすい通信は何だったのか」といった点を解説した記事がよく読まれたようだ。
さらに、「地震発生直後に通信がつながらない」というだけでなく、今回の震災では「停電」も人々の生活に大きな影響を及ぼした。原発をはじめ各地の発電所が停止したことによって、東北電力および東京電力管内では計画停電や夏場の電力使用制限が実施されたからだ。こうしたことから、「停電」や「電力削減」に関するネットワークの記事も多くの読者の関心を呼んだ。特に、第2位にランクインした『どのタイプの固定電話が停電時に使えるのか?』という記事は、今後の災害対策を考えた場合にも非常に役立つだろう。まだ読んでいない読者には、ぜひ一読を勧めたい。
ソフトバンクとイー・アクセスの争いが関心高める?
このように震災関連記事が上位に目立つ一方で、第1位になったのは意外にも『携帯各社の今後を左右する、900MHz帯の割り当て案は妥当か?』という記事だった。なぜ意外かと言うと、この記事が11月14日に公開されたものだからだ。当然のことながら、年間のアクセスランキングは1月から12月のアクセス数でランキングを決める。どうしても、その年の前半に公開された記事のほうが後半に公開された記事よりも有利になることは間違いない。
にもかかわらず11月に公開した記事が1位となったことからは、プラチナバンドとも呼ばれる携帯電話の900MHz帯割り当てに関する読者の関心がいかに高いかが分かる。特に、ソフトバンクモバイルとイー・アクセスが同周波数帯を渇望しており、最終的にどちらに軍配が上がるのかという点も興味がそそられる要因になっているだろう(関連記事)。
900MHz帯の割り当ては、12月14日に総務省による申請の受け付けが始まった(関連記事)。締め切りは2012年1月27日で、同年2月か3月頃には割り当て事業者が決まる見込みだ。
このほか、ネットワーク・コマンドやキーワードなど基礎知識に関する古い記事もいくつかランクインした。ネットワーク・コマンドに関する記事としては、3位に『net useコマンド』、9位に『tcpdumpコマンド』、20位に『sshコマンド』が入り、キーワード記事としては、15位に『Wi-Fi Protected Setup(WPS)』、16位に『RAID01とRAID10の違い』が入った。
これらは、GoogleやYahoo! JAPANにおいてコマンド名などで検索した場合に上位に表示されるケースが多い。こうしたことが影響した可能性が高い。
なお、ネットワーク分野におけるアクセスランキングは、スマートフォン関連記事を除外して集計した。スマートフォン関連記事に関する2011年のアクセスランキングについては、『[スマートフォン]AndroidとiOSが席巻、2012年はOS競争からサービス競争へ』を参照してほしい。