前回に引き続き、プロジェクトマネジメントに関してよくある誤解です。

 早速残りの2つの質問について見ていきましょう。

質問(4)「今のままでもちゃんと成果は出ているけど?」

 現状のやり方でもプロジェクトを完遂し、十分に成果を挙げることができているのだから、わざわざ新しいプロジェクトマネジメントの手法を取り入れる必要性がないのでは、という問いです。

 しかし、あなたが所属する組織から見た場合、果たして「あなた自身が出していると思っている成果」が正確に評価されているでしょうか?

 これまでの積み重ねによって各現場で確立されてきた方法は、知恵の詰まった貴重なノウハウではあるものの、往々にして仕事を属人的にしてしまいます。その結果、組織のマネジメント層、例えば経営者から見た場合に各プロジェクトの成果を同じ目線で見ることは難しくなってしまいます。

 そのため、例えば「目標を曖昧にしておくことで成果を出しやすくする」「部分的な成果を誇張してアピールする」「超過勤務などメンバーたちに高負荷を強いた経過は隠し、最終的な結果だけ見せる」といった行動が高い評価につながってしまうことになります。

 このような評価がまかり通る組織では、社員のモチベーションは絶対上がりませんよね。

 「同じ基準でプロジェクトの目標、状況、結果が可視化されていなくとも、プロジェクトの成果や人が正確に評価できる」という誤解をなくし、組織的なプロジェクトマネジメントへの取り組みによって「成果を測る尺度」を確立することがやはり必要なのです。