今回は品質の確認についてです。

 品質の確認とは、すなわち“段取り”の時点で立てた品質目標の達成度合いを把握して、必要な対応を都度講じることであり、プロジェクトにおいて非常に重要な活動になります。

 「品質…なんだか難しそう…」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。確かにこれまで数多くの研究や経験によって知識の蓄積がなされている専門的な領域ではありますが、ここはあまり構えずに基本を考えていきましょう。

プロジェクトにおける品質の考え方

 “品質”のイメージと言えば、製品の生産における検査工程を思い浮かべる方も多いでしょう。ラインを流れてくる製品の重量や形状を装置で測定し、不良品を“ピッ”と弾くという、テレビの工場見学番組などで良く見る大量生産のあの光景ですね。

 同じ製品を繰り返し大量に生産する場合には、歩留まり率(ぶどまりりつ)、つまり作られた製品数のうちどの程度の比率で“良品”が生産できたのかが重視されます。そこでは、この歩留まり率を上げるための長期的な改良・改善の取り組みが重要になります。

 一方、プロジェクトの中では同じ完成品を繰り返し大量に作ることはしません。世界にひとつだけのオーダーメイド品を作っているようなもので、不良品だからと言って完成した成果物を“ピッ”と弾くわけにはいきません。品質上の問題が発見された場合、基本的に修正や作り直しの作業が必要になり、これはプロジェクトが先に進んでから見つかるほど大掛かりなものとなります。

 従って、プロジェクトにおいては、その初期段階から丹念に品質状況を確認し、早期に問題を発見して是正することが非常に大切となるのです。