前回に引き続き、リスクをテーマにプロジェクトの計画について考えてみます。当然のことながらリスクは洗い出しただけでは意味がありません。今回は、識別されたリスクへの対策をどのように検討していくのか見ていきましょう。

リスクへの対策は「メリハリ」をつけて考える!

 リスクへの対策を考えるに当たってまず踏まえておくべきことは、「多くの場合、リスクへの対策には時間やお金がかかる」ということです。

 私は多くのプロジェクトの「リスク対策検討会議」のような場に出席してきましたが、洗い出されたすべてのリスクが絶対に顕在化しないよう、徹底した予防策を立てようとしているケースを良く見かけます。マジメにリスクへの対策を検討することは重要ですが、すべてのリスクを無効化しようとするあまり、膨大な期間とコストを必要とする対策を講じようとしているプロジェクトも少なくありません。

 もちろん、プロジェクトの目標達成に大きなインパクトを及ぼす可能性が高いリスクには十分な対策を立てるべきですが、そうでもないリスクについては「いっそ対策を講じず、そのまま受け入れてしまった方がリーズナブル」という場合だってあるのです。

 そのためには洗い出したリスクの「影響度」と「発生確率」を明確化し、それに応じてメリハリのある対策を検討することが重要です。

 例えば、各リスクの影響度や発生確率を以下のように3段階で分類しておき、

・影響度:大/中/小
・発生確率:高/中/低

影響度が大きく、発生確率が高いリスクに対して優先的・重点的に対策を考えることによって、合理的に検討を行うことが可能になります。