プロジェクトの計画において“無理”は禁物です。無謀な計画を強引に進めると、最初は気力と体力でなんとか持ちこたえたとしてもいずれメンバーは疲弊し、破綻をきたすことになります。しっかりと練りこまれた現実的な計画作りを目指したいものですね。

 という訳でプロジェクト計画書の書き方、今回のテーマは「コミュニケーションルールの決定」です。

どこまでコミュニケーションをルール化するのか?

 ここで皆さんの中には、「コミュニケーションは人と人とのハートが大事!ルールなんか作るとなんだかギクシャクしてプロジェクトの風通しが悪くなるのでは?」とお感じになる方もいるかもしれません。

 もちろんそれは一理あるのですが、ここではプロジェクトにおけるすべてのコミュニケーション方法をルール化しておくべき、という訳ではありません。計画すべきなのは、重要な会議の開催方法や共通的に利用できるコミュニケーションの手段などであり、プロジェクトにおける基本的なコミュニケーションを効率化したりミスを軽減したりできる範囲に限られます(もとより、すべてのコミュニケーションをルール化するなんてことは不可能ですね)。

 基本部分でルールを確立した上で、さらにプロジェクトにオープンで明るい雰囲気を作り、メンバー間の主体的で自由なコミュニケーションを活性化すること、その“合わせ技”ができるプロジェクトマネジャーが優れたプロジェクトマネジャーと言えるのです。

会議体を定義する

 それでは早速コミュニケーションルールを決めていきましょう。

 まずは“会議体“の定義を行ないます。もちろんプロジェクトでは多くの会議が必要に応じて随時開催される訳ですが、計画段階であらかじめ決めることができる重要な会議については計画段階で以下のような項目を定義しておきます。

・会議体の名称
・主な議題
・開催日時/頻度(*1回限りの会議は開催日時、定期的に開催される会議はその頻度を定義します)
・開催場所と利用する設備
・参加者と会議における役割(司会進行役、議事録の記録者など)
・会議で利用する資料

 「計画段階であらかじめ決めることができる重要な会議」はプロジェクトによってもちろん異なるのですが、ほとんどのプロジェクトの場合では最低限図1の3種類の会議体が必要になります。

図1●プロジェクトで最低限実施すべき会議体
図1●プロジェクトで最低限実施すべき会議体

 以上を踏まえ、図2に会議体の定義例を挙げます。この例では、定期的な報告会を毎週チーム単位で行った後にプロジェクト全体で行い(No.2とNo.3)、さらに毎月1回プロジェクトスポンサーに報告している(No.4)ことが分かりますね。

図2●会議体定義の例
図2●会議体定義の例