突然だが、2012年のネットワークを読み解くために必要なキーワードを挙げてほしいと言われたら、あなたは何を選ぶだろうか。できれば、いち早く知っておくべき「最新キーワード」と、あらためておさらいしておくべき「定番キーワード」に分けて考えてもらいたい。パッと思い付くものをそれぞれ三つずつくらい書きとめてから以下を読むと、より楽しんでいただけるのではないかと思う。

 キーワードとして何を挙げるかは人によって違う。業種によって違うだろうし、同じ業種でも企業規模によって違ってくるだろう。同じ企業に勤めていても、職種によって異なるのは当然だ。仕事とは離れて個人的な興味や趣味から選べば、もっと幅は広がる。ただ、多くの人の意見を集約すれば、大きなトレンドが見えてくる。

 そこで日経NETWORKと日経BPコンサルティングは、「2012年のネットワークを読み解くための最新・定番キーワード調査」を実施した。対象は、本誌およびメールマガジン(日経NETWORK倶楽部メール)の読者。今回は、「仕事に役立つネットワーク技術を基礎から学びたい」という方々の視点からトレンドを探ったのである。

4位LTE、3位WiMAX 2、2位HTML5、では1位は?

 正直、意外な結果だった。最新・定番ともに上位10位の結果を次ページに示すが、選ばれたキーワード自体はまだしも、順番は予想していたものとは違っていた。

 最新キーワードの4位だった「LTE(Long Term Evolution)」は、1位か2位に入るのではないかと考えていた。LTEは、規格上は300Mビット/秒を超える次世代の携帯電話通信規格である。NTTドコモが国内で最初の商用LTEサービス「Xi(クロッシィ)」をスタートさせたのは2010年12月。他社は2011年に試験運用やモニターサービスを始めたものの、本サービスが出そろうのは2012年だ。2月にはソフトバンクモバイルがLTE互換をうたうAXGP(Advanced eXtended Global Platform)の商用サービスを開始する予定。3月にはイー・アクセス(イー・モバイル)が、12月にはKDDI(au)がLTEの商用サービスを始める見込みである。

 国際的にも2012年はLTEへの流れがある。業界団体の予測では2012年末までにLTE商用化を目指す通信事業者は全世界で103に上るという。国内はまだ基本的にデータ通信のみだが、海外ではLTEを使った音声サービスまで登場するかもしれない。

 このLTEのほか、3位に入った「WiMAX、WiMAX 2」、6位の「次世代無線LAN(IEEE 802.11ac、11ad)」、9位の「40G・100Gイーサネット」といった、通信の世界でいうところの「下位レイヤー」の技術は、編集部としては“順当な”ものと感じた。

 それらを抑えた2位と1位は、「HTML5」と「Windows 8」だった。もちろん、重要なキーワードであり、トップ10に入るのは納得だ。ただ、特にWindows 8は通信技術の“直球”ではないので1位になるとは思っていなかった。

 いうまでもなくWindows 8は、Windows 7に続く新しいクライアントOSである。この記事を執筆している時点ではまだ、リリース時期や仕様の正式なアナウンスはない。Windows 8という名称自体、仮のものだ。それでも、早ければ2012年後半にも製品が登場しそうだ。日経NETWORKは様々な読者にお読みいただいているが、最も多いのは自社ネットワークを運用・管理する立場の方である。導入や移行、既存ネットワークへの影響という観点でWindows 8の情報をつかんでおくべきと考えたのかもしれない。