前回、段取りをしっかり立てておくことの重要性と、プロジェクトの計画をいつ、どのような単位で作るべきかについて説明しました。今回からは、その計画の「中身」の作り方について詳しく見ていきたいと思います。

計画を立てるということ-面倒クサイのは、それが、とても、重要だから

 プロジェクトの計画を立てるということ、それは実際には「プロジェクト計画書」という書類を作り、関係者の合意を得ることを指しています。

 プロジェクト計画書とは、そのプロジェクトで取り組む範囲(スコープ)や作業スケジュール、体制、想定されるコストなど、主にプロジェクトの推進に当たって予定している事柄を記した書類のことで、プロジェクトメンバーはこの計画書に沿って作業を進めることになります。

 大規模なプロジェクトではこの計画書が数百ページになることもありますが、小さなプロジェクトでは大体30ページくらいの書類をイメージしてください。それだけ書くのも結構時間がかかり大変な仕事ではあるのですが、計画をしっかりと練り込み、その内容を明文化しておかなければ、関係者とプロジェクトの進め方を正確に共有することができません。

 プロジェクトの実際の作業に早く取り掛かりたい気持ちも分かるのですが、ここで計画書を丁寧に作っておくことで後の作業のスムーズさは断然違ってくるのです。特に、これまであまり一緒に仕事をしたことのないメンバー、つまり「あ・うんの呼吸」が通じない相手と共にプロジェクトを実施する場合、「アイマイでエーカゲンな計画書」が、往々にして無駄な作業や致命的なミスの原因となってしまうのです。ここはグッとこらえて「急がば回れ」を心掛けましょう。

 また、プロジェクト計画書を作る際には重要なポイントがもう一つあります。それは、計画書をプロジェクトマネジャー一人ではなく、プロジェクトの主要メンバーに予定している関係者たちをしっかり巻き込んで作り上げることです。プロジェクトの進め方を相談したり、一緒にアイデアを検討したりすることによって、計画の精度が上がるだけではなく、メンバーの参画意識を高めることができるのです。「プロジェクトマネジャーから与えられた計画」ではなく「共に知恵を出し合って作った計画」として、より主体的にプロジェクト推進に協力してもらえる関係をここで築いておくべきなのです。

 なお、プロジェクト計画書の書き方にもいくつかの流派みたいなものがあったりします。それによって計画書に含まれる項目やその呼び方、構成などが微妙に変わってきますが、この連載の中で特にどれかの流派に従ったり意識したりすることはやめます。この連載全般に言えることですが、どのような流派においても大概含まれ、また私自身のコンサルティング経験からプロジェクトを成功させるために重要と考える計画書の内容について、汎用性と分かりやすさを重視して説明をしていきたいと思います。