企業情報システムにクラウドが採用されるケースはもう珍しくない。GmailやOffice 365をはじめ業務用途に耐えるサービスが数多く登場しており、サービスベンダーがしのぎを削っている状況だ。クラウド関連ニュースのアクセスランキングには、どのサービスベンダーがマーケットのけん引役となるかが、如実に表れている。最も多くアクセスを集めたのはGoogle。上位20本のうち8本が同社に関連する記事だった。次いでAmazonとAppleとMicrosoftが並んでおり、それぞれ3本ずつがランクインしている。

 アクセスランキングのトップは、Googleのエリック・シュミット会長とSalesforceのマーク・ベニオフCEOによる対談。シュミット会長は、現在のクラウドコンピューティングを「ユーザーが力を蓄えることができる」システムであると説き、「何かしようと思ったら昔は何年もかけたが、今はそういう時代ではない」と指摘している。

 それを支えるのが「Google+」や「Google Chrome」といった同社の製品/サービス群。これらの機能強化を報じる記事が多くのアクセスを集めた。一方で、同社は開発中の技術を試験公開する「Google Labs」をはじめいくつかのプロジェクトを終了している。クラウドにおけるサービスの足の速さを象徴している。

 Google以外のベンダーについても、サービスの動向には注目が集まっている。Microsoftの「Office 365」やAppleの「iCloud」など主要ベンダー各社による肝いりのサービスが続々登場している。それらがどういうものなのか、どれくらい使えるのかは、見逃せないところである。

 システム障害への関心も高い。オンプレミスのシステムと違い、クラウドのシステムは障害が発生しても自力では解決できないし、情報収集もベンダーの公式発表が頼りとなる。2011年3月に発生したGmailの障害と、4月に起きたAmazon EC2の障害が、それぞれランクインしている。

2011年クラウド関連記事ランキング
(2011年1月1日~12月11日)
1位「PCの次の時代が来た」、グーグル シュミット会長がセールスフォース ベニオフCEOと対談
2位Office 2010のWeb版は「期待はずれ」
3位Microsoft、企業向けWebサービス「Office 365」を一般ベータ公開
4位Chromeが初めてFirefoxを抜き2位に、世界市場シェア調査
5位Apple、「iCloud」を発表、音楽/アプリ/電子書籍などクラウドで管理
6位Google、テストサイト「Google Labs」の活動を終了へ
7位YouTube、ライブストリーミングサービス「YouTube Live」を開始
8位Apple、開発者会議にJobs氏登場、「iOS 5」やクラウドサービス「iCloud」を披露へ
9位GoogleがWebブラウザー「Chrome」の最新安定版、JavaScriptを最大66%高速化
10位Google、「Google+」になりすまし防止のアカウント認証機能を実装
11位OutlookやLive Hotmailに取り込める計画停電カレンダー、MSが公開
12位VMware、デスクトップ仮想化ソフトのiPad用アプリを公開
13位開封後わずか60秒で自宅をクラウド化、米クラウドエンジンズが小型デバイス「Pogoplug」を発売
14位Amazon EC2の米国東海岸データセンターで障害、利用サイトに影響
15位[続報]Amazon EC2の障害、外付けストレージの復旧が長引く
16位[続報]Gmailの障害、「ストレージソフトのアップデートが原因」
17位東北沖地震情報サイト「sinsai.info」、OpenStreetMap Japanが開設
18位「Google+」が招待発行を一時再開、試験ユーザーを2倍に
19位米アマゾン、ついに日本にデータセンターを開設、三井物産などが利用へ
20位Apple、無償のクラウドサービス「iCloud」は10月12日提供開始