クラウドサービスと同じく、スマートフォンやタブレットも場所を問わない業務環境を構築するうえで鍵を握る要素だ。スマートフォンやタブレットには、クラウドサービスとの連携機能や、仮想デスクトップのクライアントソフトが用意されている場合が多い。クラウドサービスとセットで導入することで、社内のネットワークに影響されず、場所を問わない業務環境をすぐに実現できる。
今回のアンケートでは、昨今のスマートフォン/タブレットの勢いを表すかのように、導入意向を示す企業が半数近くに達した(図1)。導入しているOSの内訳は、iPhone/iPad向けのiOSが最も多く、Androidが後を追うという2強状態である。
導入理由は、「社員の生産性向上」に次いで、「社員からの要望が高かったから」「いずれ携帯電話はスマートフォンに置き換わるから」という声が上位に来た(図2)。現場からのボトムアップの声や時代の流れによって、スマートフォンやタブレットの検討が避けて通れなくなっている様子がうかがえる。
スマートフォンやタブレットで利用している機能/利用したい機能の内訳を、導入済み/導入予定/導入を検討中のユーザーごとに分析してみた(図3)。いずれも「電話/メール/グループウエア」が最上位だが、導入予定や導入検討中のユーザーは「自社専用の業務アプリ」や「リモートアクセス・VPN接続」の関心が高い。今後は、スマートフォンやタブレットで利用する機能の広がりを見せる可能性もある。
例えばシートベルトやエアバッグなどの大手メーカーであるタカタは、iPhoneにSIPクライアントをインストールし、社内の内線電話端末としての利用することを計画する。同じく、無線LANデュアル端末を導入中のコクヨも、別途進めているiPhoneやiPadの導入と合わせて、スマートフォンをSIP内線端末に使いたい考えを示す。
ただしAndroidは、セキュリティやVPNの面で発展途上にある点を覚えておきたい。実際、繊維メーカーの新内外綿は、AndroidのVPN接続に苦労したという。同社はNTTドコモのAndroid端末を導入したが、ドコモのspモードは通信事業者の網内でNATを実施しているため、NAT越えができないPPTPでは接続できなかった。L2TP+IPsecではなんとか接続できたが、VPN接続中はspモードを使えないため、iモードメールの送受信ができず面倒だという。