NTTは2011年11月29日、30日に開催した光アクセス技術の展示会「つくばフォーラム2011」で、10G-EPONの実機デモを披露した。10G-EPONは、最大10Gビット/秒の伝送速度を実現する次世代のPON(Passive Optical Network)技術である。

 PONとは、分岐した光ファイバーを使って多数のユーザーに低コストで光アクセスを提供する技術のこと。収容局側に1台のOLT(Optical Line Terminal)を置き、分岐した光ファイバーでユーザー宅側に置くONU(Optical Network Unit)を複数収容する。現在、実際のFTTHサービスで普及しているのは、分岐数が最大32分岐、伝送速度が1Gビット/秒のGE-PON(1G-EPON)である。

 今回のデモでは、分岐数を2倍の64分岐とし、既存のGE-PON用ONUを62台、10G-EPON用ONUを2台接続して稼働させた(写真1写真2)。分岐数を増やすことで導入コストの低減を図り、さらに既存のGE-PONと10G-EPONのONUを混在させることでマイグレーションが容易になる。なお、62台のGE-PON用ONUは、現在NTT東西地域会社で実際にサービスで使われている全機種を含んでいるという。

写真1●NTTが展示した62台のGE-PON用ONUと2台の10GE-PON用ONU
写真1●NTTが展示した62台のGE-PON用ONUと2台の10GE-PON用ONU
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写真2●NTTが展示した10GE-PON用OLT
写真2●NTTが展示した10GE-PON用OLT
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 今回のデモのもう一つの特徴は、GE-PON/10G-EPONのシステムレベルでの相互運用性を確保するための標準規格「SIEPON」(Service Interoperability in Ethernet Passive Optical Networks)を先取りして搭載した点である。SIEPONの標準化作業は現在IEEEで進められており、2012年6月には「IEEE 1904.1」として標準化が完了する予定。SIEPONは、これまで通信事業者や機器メーカー、チップメーカーが独自に実装してきた認証、暗号化、動的帯域割り当て(DBA)、省電力機能などをまとめて標準化することを目的としている。

 NTTのほかにも、いくつかのベンダーが10G-EPON向けの装置を展示した。OKIは、10G-EPON用OLTの配下に、10G-EPON用ONUと、省電力対応と長距離対応のGE-PON用ONUを接続してデモを披露した(写真3)。省電力対応については、SIEPONのONUスリープ機能に加え、EEE(Energy Efficient Ethernet)も利用しているという。このほかNECと日立製作所も、10G-EPON向けの装置を展示していた(写真4写真6)。

写真3●OKIが展示した10GE-PON用のONUとOLT
写真3●OKIが展示した10GE-PON用のONUとOLT
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写真4●NECが展示した10GE-PON用のONUとOLT、OLT用光トランシーバ
写真4●NECが展示した10GE-PON用のONUとOLT、OLT用光トランシーバ
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写真5●日立製作所が展示した10GE-PON用OLT
写真5●日立製作所が展示した10GE-PON用OLT
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写真6●日立製作所が展示した10GE-PON用ONU
写真6●日立製作所が展示した10GE-PON用ONU
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