イッツ・コミュニケーションズが商品購入やサービス利用ができるチケットの販売サイト「PONiTS(ポニッツ)」を開始してから約1年がたった。

 同社はこの事業と放送の連動を行っており、コミュニティーチャンネルでチケットを発行する店舗を紹介する番組「東急沿線プレミアムチケット PONiTS -ポニッツ-」を放送している。この番組は、4人のPONiTS専属チームが制作している。執行役員ライフソリューション事業部事業部長の金井美惠氏は、「番組を見て来店してくれる人が予想以上に多い」と言い、フラッシュマーケティング事業と放送事業の連動は一定の成果を上げているようだ。PONiTSの利用者は6割程度が女性で、年齢層としては40歳代が目立つという。

 同社はPONiTS事業を地域情報提供サービスの一つと位置付けており、利用者から要望の多い飲食店に加えて、かばん販売店や食品店など様々な店舗のチケットを販売している。チケットの発行後は、店舗にフォローのメールを送ることをルールとしている。例えば、チケットの期限間際に多くの来店者が見込まれる場合は、「期限の延長をお願いする可能性もある」という。こうしたアフターフォローの効果もあり、「PONiTSでチケットを発行する店舗のうち2割程度は利用回数が複数のリピーター」という。

 2010年ごろから複数の放送事業者がフラッシュマーケティング事業に参入したが、既に複数の事業者が撤退している。そうした中で継続できている背景については、「フラッシュマーケティング事業はケーブルテレビ事業者に合っているのではないか」と分析する。ケーブルテレビのサービスエリアは地上放送などに比べて小さく、それほど多くない人員で地域の店舗をカバーできる状況にある。さらにケーブルテレビ事業者はコミュニティーチャンネルを運営する中で地域の店舗を取材したり撮影したりするノウハウを備えており、連動番組を制作しやすい。このほかに「取材をすると店舗側も喜んでくれる」など、地域に根ざした事業者として多くの人に認知されていることも事業を推進しやすい要因になっているようだ。

 現在、イッツコムにはほかのケーブルテレビ事業者から、注文受け付けや課金などの機能を持つPONiTSのシステムについて、「我々も使わせてもらえないか」という要望が届いているという。これについては、「前向きに検討したい」としている。PONiTS事業の収益については、「今年度末か来年度の早い時期には単月黒字化を実現したい」という。