タイで今年7月に発生した洪水は被災地域を拡大しながら4か月以上続き、多数の日本企業が進出していた工業団地にも甚大な浸水被害をもたらした。現在、工業団地を囲む堤防の中に入り込んだ水を排出する作業は進み、操業を再開した企業は増えている。だが、タイの別の地域や日本での代替生産で急場をしのいでいる企業も少なくない。

 今年のタイの洪水は、IT業界にも大きな影響を及ぼした。とりわけHDDに与えた影響は大きい。東京・秋葉原でのHDDの販売価格は、品不足の影響で10月中旬から上がり始め、1カ月後の11月中旬には2~3倍に跳ね上がった。今、価格の高騰は止まり、値を戻しつつあるが、依然として高値水準にある。

 調査会社BCNによる主要家電量販店での実売データ調査「BCNランキング」によると、11月21日の週のHDD販売数が前年同期と比べて51.2%も落ち込んだという。BCNは、年明け後もしばらくはHDDの品不足が続くとみている。パソコンに組み込むHDDについては、パソコンメーカーが当面の在庫を確保しているため、今のところ大きな影響は出ていないが、来年第1四半期には影響が出そうだ。

タイ洪水の影響を報じたニュース

タイ洪水でHDDの売り上げが減少、一方でパソコンは好調---BCN調査

2012年Q1パソコン出荷がタイ洪水で380万台減少、IHS iSuppli予測

タイ洪水でHDD不足が来年第1四半期まで続く---IDC予測

タイ洪水で年末商戦のパソコンは10%減---BCNが予測

HDD大手のWD、タイの洪水で主要工場が操業停止「業務に甚大な影響」

ハードディスク調達に全力、米デルがタイ洪水に対策チーム

タイ洪水で漂うIT企業決算の不透明感

大手4社の4~9月期決算---円高やタイ洪水が不安要因に

富士通、タイの洪水でPC生産に今後影響も

NTTデータ決算、「タイの洪水の影響を受けるなど海外も不透明」

NEC決算、「タイ洪水の影響もあり、IT投資動向を見通すのが難しい」