一生懸命にベンダーを管理しようとするほどシステム部門の業務が回らなくなる。そればかりか、ベンダーとシステム部門の対立も深めてしまう。そんなベンダーマネジメントから今すぐ脱却し、継続的な協調関係に基づく「パートナーベンダー」を見つけるべきだ。「ベンダーとの関係を対立から協調に変えられるか否か」。これが、システム部門の明暗を分けることになるだろう。

 あなたの会社と協業しているベンダーの中で、「パートナー」と言い切れるベンダーはどれだけいるだろうか。「この領域についてはこのベンダーがパートナーだ」と自信を持って言える会社は強い。ユーザー/ベンダー間で良好な関係を築き、お互いを高め合える状態が実現できていることだろう。しかしながら実態は、「たまたま案件を委託したベンダー」は数多くいても、長期的な関係を強く望むようなベンダーは少ない、と思っている会社が多いのではないか。

 良好な関係とは言えないベンダーとの協業では、多少なりともお互いを牽制しあう状態になっているはずだ。ユーザー企業は、にわか仕込みのベンダーマネジメントでベンダーの進捗・品質を細かくチェックし、ベンダーは事なかれ主義となって“順調そうな報告書作り”に必死になる。このように牽制しあう状態での計画・チェック作業に日々忙殺され、システム部門が本来担うべき役割を発揮できないとなれば、これほど残念なことはない。

 システム部門の再生が求められる今こそ、「パートナー」と言い合えるベンダーとの関係作りが必要だ。システム部門とベンダーは一体となり、力を合わせて会社の経営・事業への貢献を実現していかなければならない。お互いの不足を補うためだけでなく、強みを享受し合うことで新しい提案・チャレンジを実現していくことができれば、システム部門の未来は明るい。

もはや自社システム部門だけでは何もできない

 少子高齢化と人口減少が進む中、優秀な人材の確保は難しくなっている。リーマンショック以降、縮小傾向にあるシステム部門の人材確保はさらに厳しい状況であろう。さらに追い討ちをかけるように、Google、Yahoo!など、IT人材を取り合うことになるIT企業が台頭してきている。

 一方でシステム部門への要請は強まる一方だ。スマートフォン、クラウドなど技術の進化に伴う専門性と企業経営への活用、国内市場の縮小に伴いグローバル化する経営への貢献、東日本大震災で重要性が再認識されたBCP(事業継続計画)対応など、馬力が必要となる対応事項が盛りだくさんだ。

 このような状況下で、自社システム部門だけで対応すること自体に無理がある。IT子会社やITベンダーなど社外リソースに頼らざるを得ないのはもちろんのこと、システム部門と外部リソースが“一丸”となって対応できる体制を築いていかなければ経営からの要請に応えることができないだろう。