金融庁は2011年11月10日、企業会計審議会総会・企画調整部会の合同会議を開催した。IFRS(国際会計基準)の強制適用の見直しの方針を自見庄三郎金融担当大臣が6月に打ち出してから4回めの審議会となる。各人が自分の立場を表明する「フリートーキング」を脱し、少しずつ議論が前に進み始めた。2回にわたって企業会計審議会総会・企画調整部会の合同会議の様子をお届けする。

 11月10日の企業会計審議会総会・企画調整部会の合同会議は、定刻から数分遅れて始まった。自見庄三郎金融担当大臣が国会のため、金融庁への到着が遅れたからだ。自見大臣は6月30日の再開第1回会議(関連記事:IFRS強制適用に賛否両論---企業会計審議会総会報告)、8月25日の再開第2回会議(関連記事:混迷深まるIFRS適用---企業会計審議会総会(第2回)報告)、そして10月17日の再開第3回会議(関連記事:世界に意見を発信すべき---企業会計審議会総会(第3回)報告(前編)適用は「連単分離」に傾く---同(後編))と毎回、合同会議にフルで参加している。今回も最後までメモを取りながら参加していた。

 合同会議の冒頭は自見大臣の挨拶で始まった。大臣は遅刻を詫びるとともに、ギリシャの問題を発端とした欧州の情勢について「緊張感を持って注視している」と発言。オリンパスの損失計上の先送り問題について「一般論として市場は公明性、透明性が欠かせず、企業のガバナンスが非常に大切である」との見解を示した。

 その後、IFRSの適用の議論に関して「『連結財務諸表と単体(個別)財務諸表の取り扱い』と『経済や雇用に資する会計のあり方』について議論してほしい」と語った。単体財務諸表については、「会社法、税法と密接に結びついているから、配慮する必要がある」と強調した。

 大臣挨拶の後には、事務局を務める金融庁が配布資料について説明。「前回、配布しながら説明できなかった」として、「日・米・欧の開示制度」や「連結と単体の関係」について配布資料の内容を解説した。

 日・米・欧の開示制度に関しては、日本を含めた各国の単体財務諸表の取り扱いを中心に説明。連結と単体では「機能上の相違がある」とした。連結財務諸表について「情報提供機能や国際的な比較可能性がより重視される」とする一方で、単体財務諸表は「情報提供機能と同時に、会社法の分配可能額や税法上の課税所得など利害調整機能が強い」と位置づけた。