軽量化したものやレスキュー用途など特化型のLinuxディストリビューションが続々と新版をリリースした。最新カーネル3.0への対応をはじめ、各種ブラッシュアップが施されている。ここでは、これら7種類の特徴や最新情報を一挙紹介しよう。

 Linuxディストリビューションには、UbuntuやFedoraといったメジャーなもの以外にも様々な特徴を持ったものが存在する。例えば、古いPCでも快適に動作するようカスタマイズされている軽量ディストリビューション、壊れたPCなどからデータを救出できるレスキュー用途のディストリビューションなどだ。

 これらも日々進化し、バージョンアップを繰り返している。早くも、Linuxカーネル3.0を採用するディストリビューションも現れてきた。そこで、今夏新バージョンがリリースされたディストリビューションの特徴と強化点を紹介しよう(表1)。

表1 今夏アップデートされた主な軽量/レスキュー用途ディストリビューション
表1 今夏アップデートされた主な軽量/レスキュー用途ディストリビューション
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Puppy Linux
軽量化と操作性のバランスが良い

 主要なLinuxディストリビューションでは搭載アプリケーションが増え、必要なハードディスク容量も大きくなりがちだ。UbuntuやFedoraであれば数Gバイトが必要となる。旧型PCを利用すると容量が足りなくなってしまう。

 「Puppy Linux」は、旧型PCでも快適に利用できるようにカスタマイズされている“軽量”ディストリビューションだ(写真1)。軽量なアプリケーションを標準搭載する、不要なライブラリを搭載しないなどの工夫が図られている。

写真1 デスクトップ環境が軽量な「Puppy Linux 5.2.8」
写真1 デスクトップ環境が軽量な「Puppy Linux 5.2.8」
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 デスクトップ環境に軽量の「JWM」を採用。加えてWebブラウザー「Firefox」やオフィスソフト「LibreOffice」といった高機能なアプリケーションの代わりに「Dillo」や「AbiWord」といった軽量なものを採用している。

 Puppyではアプリケーションの起動時間を大幅に短縮する技術を導入している。起動時にLinuxのディレクトリツリーをメインメモリー上にコピーするため、起動後はCDなどのメディアから読み込む必要が無い。

 Puppyには「Puppy Linux Wary」という、古いPCでも動作するようにカスタマイズされたエディションもある(写真2)。実績のあるカーネルを採用するなど、古い器機を認識しやすいように工夫してある。

写真2 旧型PCでも動作するようカスタマイズされた「Puppy Linux 5.1.4.1 "Wary"」
写真2 旧型PCでも動作するようカスタマイズされた「Puppy Linux 5.1.4.1 "Wary"」
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 Puppy Linuxは、2005年3月にバージョン1.0がリリースされ、最新バージョンは2011年8月にリリースされたバージョン5.2.8だ。5.0から「Ubuntu 10.04」をベースとして採用している。パッケージ管理システムとして「QuickPet」を新たに搭載し、1クリックでアプリケーションを導入できるようにした。5.2.8ではファームウエアやドライバの新規搭載やアップデートによって、多くのハードウエアに対応している。

 Puppy Linux Waryは、2010年12月にバージョン5.0がリリースされ、最新版は2011年8月にリリースされたバージョン5.1.4.1。WaryはPuppy Linux 5.0から派生しており、5.0の機能を踏襲している。アナログモデムへの対応や、古いビデオカードへの対応などをカスタマイズしている。5.1ではCPUのクロック周波数をスケーリングできるツール「Wcpufreq」を搭載した。