2000年4月、就業管理システムメーカーとして知られるアマノは、ASPサービス事業の提供を目的としたシーエスジェー(現 アマノビジネスソリューションズ)を設立。アマノが得意とする就業管理システムと、当時普及していたERPパッケージSAP R/3を利用した、給与・人事のASPサービスおよびBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)事業に進出した。創業期の失敗を乗り越え、同社の「CYBER XEED」(画面)は18万人に利用されるサービスに成長した。(ITpro編集部)

画面●CYBER XEED
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 2000年当時、ハウジング、ホスティング、ASPサービスなどのキーワードがIT雑誌の誌面を賑わしていました。アマノとしても就業管理のパッケージの販売にとどまらず、これからはインターネットを活用したサービスに乗り出す時期だと判断し、ASP事業への進出を計画したのです。大手の給与計算サービス会社(A社)や、ソフトウエアハウス(B社)と提携し、新しいビジネスモデルを模索しました。

 まず、業務の効率化と提供方法の簡素化のため、A社の給与ソフトとアマノの就業管理システムとでシームレスな連携を実現するためのシステム開発に着手します。しかし、いざ準備を進めていくと、それぞれに課題が出てきました。双方が相手の技術力を当てにしてしまったことで結果的にはお見合い状態となり、いきなり進捗が大幅に遅れてしまうこととなりました。

 そこで、A社が主導する形でのシステム開発に舵を切ります。ところが、それも裏目に出てしまい、完成したのはA社の独自色が強いシステム。一般市場へのダイナミックな展開を考えていた我々の想定とはかけ離れたものだったのです。歩み寄りもできないまま、販売を目前にして契約を解除することになってしまいました。

 B社との提携についても、我々のような製造業出身の会社とソフトウエアハウスとでは物事の考えに隔たりがありました。こちらも2年で資本提携を解消することになってしまいます。現在では随分変わってきましたが、当時のアマノは自前主義を重んじる風潮があり、他社との連携が必ずしも上手ではありませんでした。結果的に、我々が独自で事業展開を推進することとなり、ノウハウのない白紙の状態からのスタートとなったのです。