本連載ではプロジェクトマネジメントの考え方がすぐに仕事に応用出来るよう、主にその手順やテクニックにフォーカスしていますが、今回は少し抽象的なテーマ、プロジェクトマネジメントに当たっての「行動様式」について考えてみます。プロジェクトは新しい価値を生み出すためのチャレンジ、ドラマチックに言えば「未知との闘い」であり、いかに注意深く進めようとも様々な問題が起こってしまうものです。困難な状況をいくつも乗り切ってプロジェクトを成功させるためにはプロジェクトマネジメントの専門知識を持っているだけでは十分ではなく、その土台となるマネジャーとしての姿勢や振る舞い方、つまり「PMとしての人間力」が問われるのです。

 この人間力の部分を共通パターン化して言葉で伝えるのはなかなか難しく、また人によって様々なスタイルがあり一概に「これが定石」と言い切れないことは承知の上ですが、多くの優秀なプロジェクトマネジャーたちが基本的な部分で共通した行動様式を持っていることは事実でしょう。これらは多くの経験則によって積み上げられてきたものであり、まぁ、分かりやすく言えば「諺」とか「言い習わし」のようなものです。

 ここでは、特にこれからプロジェクトマネジメントに取り組む方に向け、基本的なPMの行動様式について紹介したいと思います。せっかくの先人たちの叡知、スルメのようにじっくりと噛み締めながら一緒に味わってみましょう。