>>前編

 意思決定者が必要とする高品質な情報を収集し提供するには「データマネジメント」が必要になる。国際団体DAMAが『DAMA-DMBOK Guide』と呼ぶ知識体系をまとめており、このほど邦訳書籍『データマネジメント知識体系』が出版される。本稿はデータマネジメントとDMBOK Guideの意義を解説する。後編は情報の品質管理と高品質な情報を生み出すカギとなるデータアーキテクチャを紹介する。

 DMBOK Guideは9つの個別マネジメント機能とデータガバナンスを定義している。それら先立つ序章に以下のような重要なことが書かれている。

・データ、情報、知識は企業の資産である。
・他の資産と同様、データにもライフサイクルがある。データが価値を持つのは、実際に利用される、あるいは将来役に立つ可能性がある場合に限られる。データライフサイクルの各段階にはコストやリスクがつきものだが、利用段階だけはビジネス価値をプラスしてくれる。
・品質の高いデータを持たずして成果をあげられる企業は存在しない。組織は今日、より多くの情報を収集し、より有効な意思決定を行うため、自らが保有するデータ資産に頼っている。

 「品質の高いデータ」を維持する取り組みがデータクオリティマネジメント(DQM、データ品質管理)であり、DMBOK Guideの第12章に解説がある。骨子は以下の通りである。

・データクオリティはインフオメーションクオリティと同義語である。データの品質が低ければ情報が不正確になり、ビジネスのパフオーマンスも低くなるためである。
・データの品質は「利用するために適した状態」というコンテクストのなかで理解されなければならない。
・高いデータクオリティを確保するために最も重要なことは、エンタープライズ全体で1つのデータアーキテクチャを確立し、すべてのデータをその1つのアーキテクチャ内に構築し維持することである。