経営者や管理者など意思決定者が必要とする高品質な情報を収集し提供する。こうしたことを実現するには企業全体における「データマネジメント」の発想と取り組みが必要になる。きちんとした管理をしてこそデータは大きな価値を生み企業にとって貴重な資産となる。

 データマネジメントの対象は企業情報システム上のデータに限らない。データベース上にはないExcelやWordのファイルや電子メールの場合もある。紙媒体や人間の頭の中にしかないデータも対象になる。データや情報がどのような形式で保存され、どのような方法で取り出されるかを決めることもデータマネジメントの一つである。

 データマネジメントの国際的なプロフェッショナル団体DAMA(データマネジメントアソシエーション)は『DAMA-DMBOK(The DAMA Guide to the Data Management Body of Knowledge)』と呼ぶ知識体系をまとめている。このほど邦訳書籍『データマネジメント知識体系』が出版されることになった。

 データマネジメントとDMBOK Guideの意義について説明する。前編は経営者や管理者がかかわる上流工程について説明する。データマネジメントはITのみならずビジネス戦略と深く結びついているからである。続く後編で情報の品質管理と高品質な情報を生み出すカギとなるデータアーキテクチャを紹介したい。