国にはそれぞれの事情があるので、ある国にとって最適なエネルギー政策が日本にとって最適とは限らない。それでも欧米での政策や技術は参考になる。まず米国での再生エネルギーを利用した発電の現状と将来の予想を述べる。その後、この分野で一番進んでいるカリフォルニアのケースについて説明し、政策についても触れる。

 2009年の時点で米国における電力生成に占める再生可能エネルギーの割合は、約4%に過ぎない(関連記事)。その内訳は図1に示す通りである。

図1●米国における2009年時点の再生可能エネルギーの内訳
図1●米国における2009年時点の再生可能エネルギーの内訳
出典:米国エネルギー情報局

 水力が66%という圧倒的に高い比率を占め、風力が17%と2番目に来ている。太陽光はわずか0.2%である。日本で再生可能エネルギーと言えば太陽光発電だが、米国や欧州では太陽光発電よりも風力発電の方が格段に発電量が多い。風力発電は増加率も一番高く、米国では2007年から2008年にかけて61%、2008年から2009年にかけて28%の伸びをそれぞれ示している。

 とりわけ伸びが顕著な地域が、テキサス州の北西部や南東部のガルフ湾である。テキサス州は人口の増加に伴い電力需要が伸びており、電力が不足気味である(関連記事)。その解決方法として風力発電が有望視されている。

 オレゴン州も風力発電の伸びが見込まれている。オレゴン州自体は人口も少なく電力需要は小さい。しかし、南接するカリフォルニア州のPG&Eなどの電力会社が再生可能エネルギー利用割合基準(RPS、後述)の条件を満たすために、オレゴン州の風力発電から売電する必要が増しているのだ。