再生可能エネルギーは「時間や気象条件とともに発電能力が変動するか」で二つに分けることができる。時間や気象条件によって発電量が左右されないものを「非変動型再生可能エネルギー」と呼ぶ。これには、バイオマスや地熱、水力などがある。それに対して時間や気象条件とともに変動するものを「変動型再生可能エネルギー」と呼ぶ。主なものに太陽と風がある。変動型にはほかにも、潮流、波などが存在するが、まだ試験段階なのでここでは触れない。

 「太陽光発電や風力発電は原子力発電所何基分に相当するので、原子力を止めて再生可能エネルギーに特化していくべきだ」という意見があるが、そう簡単な話ではない。例えば、変動型再生可能エネルギーを電力に変換する場合、その発電量を制御することはできない。意図的に日照量を増減させたり、風力を増減させたりするのは不可能だからだ。

 それでも太陽と風は今後の発電源として大きな可能性を秘めている。太陽と風による発電およびそれらを電力系統に取り込む際の問題点と、ICTによる解決法に焦点を当てて考察しよう。まず、太陽と風による発電の種類を表1にまとめた。実際にはさらに細かいバリエーションに分かれ、発電能力も厳密なものではないが、ここでは概要を理解してもらえれば十分である。

表1●太陽と風を電源とした発電手法
種類太陽光(PV:Photovoltaic power generation)メガソーラー(PV:Photovoltaic power generation)太陽熱(CSP:Concentrated Solar thermal Power)小規模風力大規模風力
発電量数k~数十kW程度中、数十MW中から大、数百MW少、数k~数十kW程度大、数百MW程度
発電可能時期日射時日射時常時風が吹くとき風が吹くとき
利点新たな送配電線が不要、余剰の売電が可能規模の経済でコストが安い規模の経済でコスト安、溶融塩による熱貯蔵で24時間の発電が可能新たな送配電線が不要、余剰の売電が可能規模の経済でコストが安い
欠点低変換率、高価、発電が日照時のみ、助成金による不公平感高建設費、広い場所が必要、新たな送電線が必要高建設費、広い場所が必要、新たな送電線が必要低周波騒音、シャドウフリッカー、生態系への影響、景観を乱す低周波騒音、シャドウフリッカー、生態系への影響、景観を乱す、新たな送電線が必要