「A3 Together」の東北デベロッパー賞に選ばれたのは、買いものメモ帳アプリ「買うにんぐペーパー」。学生奨励賞に選ばれたのは、脈拍を測り健康維持やダイエットを行う「WalkPulseDiet」、高齢者むけユーザーインタフェース「どれでもフォン」、近くにいる人のツイートを取得するアプリ「Twiterea」の3作品。今回はすでに紹介済みの1作品を除いた4作品を紹介する。グローバル賞と同時受賞の「Twiterea」は、グローバル賞の回をご覧いただきたい。

 また、ユーザーによるユニークなサービスの利用を表彰するユーザー応用賞の受賞者も紹介する。

物資不足時の食材共有にも役立つ買い物メモ
<東北デベロッパー賞>買うにんぐペーパー
作者:TKsystem

 「買うにんぐペーパー」は、「食材」という切り口で利用者どうしがコミュニティを形成できるアプリだ。利用者は、足りない食材や欲しいと食材を登録し、買い物メモの替わりに使う。メンバー間で食材の情報を共有したり、プッシュ通知によりメッセージを送ったりすることができる。これらの情報をTwitterに投稿する機能も備え、「このスーパーにこんな食材があった」という情報共有に使うことや、足りない食材の「お裾分け」に使うことも可能だ。

写真●「買うにんぐペーパー」の画面。機能一覧を、アイコンを有効に使い親しみやすく表現している
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写真●「欲しい食材」のメッセージを送っている画面
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 開発者は「食でつながるご近所コミュニティ」というキャッチフレーズを付けている。大震災の後には食材の流通が滞ったが、そのような事態にコミュニティで情報を共有することで対処することを狙っている。

作者に聞く

TKsystem
TKsystem 山本拓郎氏

アプリを開発されたきっかけは。

 震災が発生し、電気やガソリン、物流も途絶えた状況をこの身で体験して、いかに近所の人たちとのつながりが大切かを思い知らされました。そんな中、おすそ分け文化などの食をきっかけとした近所のつながりに注目して開発したアプリです。

苦心された点は。

 ご近所メンバへのメッセージ送信の部分で利用しているプッシュ通知機能の実装は苦労しました。登録した食材情報からおすそ分けにつなげる重要な機能だったため、多少時間をかけてでも実装した部分です。結果として苦心が実る形となったと思っています。

ユーザーに向けてのメッセージを。

 震災時に役に立つアプリ全般に言えることかもしれませんが、いざコトが起きてからアプリを使ってみようと思ってもなかなか使えないものです。ぜひご近所の方と一緒にこのアプリを入れてみて普段から活用していただければと思っています。