by Gartner
デイヴィッド・カーリー VP兼ガートナーフェロー
亦賀 忠明 リサーチVP兼最上級アナリスト

 ガートナーでは以下の10項目を、今後3年間で企業に大きな影響を与え得る「戦略的テクノロジー」であると定義している。

モバイルタブレットと次世代型製品
 ユーザーは様々な形状の端末を、モバイルコンピューティング用に選択できるようになる。選択肢は一つだけではない。企業は2015年までに、2~4種類の端末を使い分けるようになる。情報システム部門は、異なるプラットフォームの端末や、従業員が持ち込むスマートフォン/タブレットを管理する必要がある。

モバイル・セントリック・アプリケーションとインタフェース
 ウィンドウやアイコンからなるユーザーインタフェース(UI)が、タッチやジェスチャー、検索で構成するモバイル・セントリック・インタフェースに置き換わる。モバイルアプリのUIは今後、異なるプラットフォームで共通化する必要がある。そのため、現在はネイティブアプリとして実装してあるモバイルアプリの半数が、2015年までにHTML5をベースとしたWebアプリに置き換わる。

コンテキストとソーシャル・ユーザー・エクスペリエンス
 2013年までに、ユーザーの嗜好や行動を予測するコンテキスト・アウェア(文脈理解)・コンピューティングを適用したアプリケーションが、モバイルの世界で普及する。

インターネット・オブ・シングス(IoT)
 IoTとは、様々なセンサーや機器が、インターネットに接続する状況を指した言葉だ。組み込み型センサーやイメージ認識、NFCペイメント(携帯電話機を使った決済)の発達によって、IoTはいよいよ普及期に入る。

Appストアとマーケットプレイス
 ガートナーでは、米アップルや米グーグルが設けるアプリケーションストアからのダウンロード件数が、2014年までに年間700億件に達すると予測している。企業向けに特化した、セキュリティ強化型のストアも登場するだろう。

次世代アナリティクス
 データ分析は、三つの方向性で進化を遂げる。第一に、データ分析機能がビジネスシステムに統合される。第二に、過去のデータの分析ではなく、リアルタイムデータ分析による近未来の予測が増加する。第三に、従来の構造化データだけでなく、テキストや音声、動画を含む様々な種類のデータが分析対象となる。

ビッグデータ
 企業が取り扱うデータの規模や複雑さ、形式、スピードが、従来の情報システムに収まりきらなくなる。インメモリーDBといった、従来とは全く異なるデータ管理手法を利用する企業が増える。

インメモリーコンピューティング
 インメモリー技術が、データ分析やイベント処理、アプリケーションサーバー、データベース管理システムといった様々な用途で利用されるようになる。

超低消費電力サーバー
 携帯機器向けの省電力プロセッサを採用した、従来比で30倍以上も電力消費効率が優れるサーバーが登場し、「MapReduce」のようなディスクの読み書きが主となるワークロードで使われるようになる。

クラウドコンピューティング
 クラウド市場はまだ、初期段階にすぎない。今後2年間は、米オラクルや米IBM、独SAPといった既存のエンタープライズベンダーが、クラウドの品ぞろえを拡大する。