ケイ・オプティコムはFTTHサービスの利用者向けに、タブレット端末を使った宅内サービス「eoスマートリンク」の実証実験を2011年6月から実施している。同社はeoスマートリンクをより良いサービスとして事業展開するために、当初500世帯を対象に開始した実証実験の枠を750世帯に拡大すると同時に、2011年11月までだった実施期間も2012年1月まで延長することを決めた。利用者のフィードバックを反映し、2011年度内にも本格サービスとして提供する計画である。

中間アンケートから分かった利用動向

図1●情報端末でよく利用しているネットサービス
図1●情報端末でよく利用しているネットサービス
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図2●情報端末で今後利用したいネットサービス
図2●情報端末で今後利用したいネットサービス
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 ケイ・オプティコムは、実証サービスの参加者に対して8月下旬から9月上旬にかけて「中間アンケート」を実施し、サービスに対するユーザーの利用意向や利用実態を調査した(図1図2)。アンケート結果によると、現在よく利用しているサービスは上位から天気予報の閲覧(86.8%)、ニュースの閲覧(75.2%)、YouTubeなどの映像配信サイトの閲覧(57.9%)、地図の検索(49.7%)の順だった。また今後利用したいサービスの上位には「利用中のサービス」と同様の顔ぶれが並んだ。このうちよく利用するサービスと今後利用したいサービスの差に着目すると、「地域情報の閲覧」(利用する:11.0%→今後利用したい:24.8%)やネットラジオ/TVの視聴(17.3%→33.6%)、チケットやホテルの予約(2.8%→21.1%)などが大きく伸びており、こうしたサービスに潜在的なニーズがあることが分かる。またアプリの利用では、チラシ配信アプリやフォトフレームの利用度合いが比較的高かった。

 こうした結果についてケイ・オプティコムでは「情報端末で得たい情報として、天気や地図、地域の情報、近隣の店舗のチラシなど、身近なものに対するニーズが高いことが分かった」(同社コンシューマ推進事業部 宅内プラットフォーム事業検討プロジェクトチームの村主隆彦チームマネージャー)と分析する。中でもチラシ情報に対するニーズは高く、未提供の店舗のチラシに対して提供を希望する問い合わせが数多く寄せられた。現在提供中の地域情報としては、電力使用量、警報/注意報、電車の遅延情報などで、今後は行政とも協力して地域のイベント情報や回覧板などを提供することも検討したいという。

 またネットスーパーの利用も、想定以上に好調と説明する。実験で提供するネットスーパーでは、利用代金を毎月のケイ・オプティコムの利用料と合算して支払えるようにした。利用に当たり、ケイ・オプティコムが発行するIDを入力すれば、商品を購入できる仕組みだ。「クレジットカードの番号を入力せずに済む点が評価されている」という。

 一方で、端末へのアプリの追加やSNSサービスの利用は低調に留まっている。今回の実験で利用しているタブレット端末はAndroid OS搭載製品で、Android向けアプリの追加やカスタマイズも可能だ。もともとタブレット端末を利用しているユーザーの中にはカスタマイズする人もいるが、多くの利用者はプリインストールされたアプリを利用するだけという。こうした結果から「サービスの利用を促進するには、よく使われそうなアプリについてはあらかじめ端末にインストールしておくことが必要」と分析する。

 TwitterやFacebookなどのSNSサービスについては「端末をリビングなどで家族全員が共用しているケースが多く、個人的なコメントが家族の目に触れることを嫌がったのではないか」と説明した。

 ケイ・オプティコムでは、タブレット端末をコンテンツ視聴用のもう一つの画面としてとらえ、提供中の多チャンネルサービスと連動させる取り組みについても検討している。現在検討を進めているのは、セットトップ・ボックス(STB)で録画済みの番組を家庭内の別の場所からタブレット端末を使って視聴できるサービスである。STBとの連携には、テレビやレコーダーなどのAV機器で広く採用されているDLNA規格を用いる。

 このほか、STBやテレビなどを遠隔操作するコントロール機能や、タブレット端末に表示した番組表からSTBの録画予約ができるような連携機能についても、提供を検討しているという。