表参道駅と銀座駅で位置情報提供サービスを試験的に始めた東京メトロとヤフー(関連記事)。アプリケーションをインストールすれば、誰でもスマートフォンに駅構内の現在位置を表示したり、駅施設への案内を表示したりできるようになる。サービス構築に携わった東京メトロとヤフーの担当者に、試験サービス実現までの道のりを聞いた。
――試験サービスを始めた経緯を教えてください
ヤフーでは、地上の地図に続いて、人が多く集まる地下街など地下の地図の作成を始めていました。ちょうどそのころ東京メトロでは、駅構内に店舗を新設するなど、駅構内の有効活用の取り組みを始めていました。こうしたことから両者は、利用者の利便性の向上のために、地下鉄駅構内の位置情報を提供するサービスに興味を持ったのです。
――地下鉄駅構内の地図はどのように作成しましたか
地下鉄駅構内の地図を作成するのに必要な情報を東京メトロがヤフーに提供して、ヤフーが緯度・経度の情報を含めた正確な地図を作成しました。今後は、地下鉄駅構内の施設が変更になった場合など、その情報をすばやく反映できるような仕組みを構築していきたいです。
――屋内でどのように測位していているのですか
無線LANアクセス・ポイントからの電波を利用して位置を推定するクウジットの「PlaceEngine」を使っています。こうした理由もあって、現時点でこのサービスを受けられるのはAndroid 2.1以上を搭載した端末のみになっています。インフラの整備については、日立製作所の技術協力を得て、測位精度を評価しながら精度向上のためにアクセス・ポイントを追加するといった対策を実施しました。
――なぜ無線LANを選んだのですか
無線LANアクセス・ポイントは、ほとんどの地下鉄駅構内に設置済みのため、既存のインフラを利用できるという利点があります。例えば試験サービスを始めた表参道駅には、十数個のアクセス・ポイントが設置してあります。無線LANの他にも、屋内測位技術「IMES(indoor messaging system)」やICタグなども検討しましたが、端末側で対応が必要になるなどの理由から断念しました。
――測位精度など改善が必要な点はありますか
現時点では、最大で数十mの誤差が生じる場合があります。地下鉄駅構内では、数十mの誤差があると、目的地から大きく外れてしまいます。できれば数mの誤差に抑えたいですね。特に誤差が生じやすいのは、ホームの端や通路の先端など、アクセス・ポイントが少ない場所になります。