バージョン3.0までのAndroidには、無線LAN接続時にプロキシーを設定できないという重大な機能欠如が存在した。これは、プロキシーサーバーを使うことが多い企業ネットワークでのAndroid端末活用の大きな障害となっていた。Android 3.1以降ではプロキシー設定が可能になり状況は変わりつつあるが、スマートフォン製品には依然制限があり、対処方法を理解しておく必要がある。

 Androidには長い間、プロキシー接続用のシステム設定画面が存在しなかった。その結果、無線LAN接続時には一部のアプリを除いて、プロキシーサーバーを介した通信ができないという制限が生じていた。企業ネットワークでは、セキュリティ確保や通信データ量削減のためにプロキシーサーバーを利用することが多い。プロキシー接続機能の欠如は、こうしたネットワークでのAndroid端末活用を阻害する要因だった。

 無線LAN接続時にプロキシー接続できない問題は、Androidの開発を推進する「Open Handset Alliance」の不具合報告サイトで、Androidが一般公開される前の2008年11月には既に指摘されていた。その後も繰り返し、多数のユーザーや開発者から要望が出されたが、長期間放置されてきた。

 Androidがプロキシー接続用のシステム設定画面を備えたのは、2011年5月に公開されたAndroid 3.1からである。Android 3.1/3.2では無線LANアクセスポイントごとに個別のプロキシーを設定し、その設定を端末上の全アプリに適用できるようになった(写真1)。Android 3.1以降の搭載端末には表1のようなものがある。

 ただし、スマートフォン向けのAndroid 2系列には、2011年9月15日時点では同機能はバックポートされておらず、いまだにプロキシー接続できない状態が続いている。

写真1●Android 3.1以降に装備されたプロキシー設定画面<br>Android 3.1/3.2では無線LANアクセスポイントごとに個別のプロキシーを設定し、その設定をシステム全体に反映できる。
写真1●Android 3.1以降に装備されたプロキシー設定画面
Android 3.1/3.2では無線LANアクセスポイントごとに個別のプロキシーを設定し、その設定をシステム全体に反映できる。
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表1●Android 3.1以降を搭載した端末<br>2011年9月15日時点で国内販売されているものを挙げた。
表1●Android 3.1以降を搭載した端末
2011年9月15日時点で国内販売されているものを挙げた。
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